個人宇宙のレビューコレクション
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ミラーリングサマー主人公が生き別れの双子の兄を探すため、故郷の二示申町という場所にやってきたことから始まる夏の物語です。3時間ほどで完走できました。 面白かったです。とにかくシナリオが練りに練られており、後半から始まる怒涛の展開に「!?」となる瞬間も多かったです。ここからはネタバレ欄に伏せさせて頂きますが、このタイプの作品はネタバレを読むと面白さが半減してしまうので、未プレイの方は開かないことを推奨します。 @ネタバレ開始 この作品の肝は、何重にも展開される「叙述トリック」と「どんでん返し」だと思います。物語の前半はそれを成立させるために、登場人物たちの軽妙な会話で覆い隠しながら、たくさんの伏線を残しています。リアルタイムで読んでいる時は「何だ何だ?」と思いながらクリックしていましたが、それが一気に解消される後半の驚きと爽快感は大きかったです。 自分の場合は「どんでん返し」という感想を目にしたこと、もともと叙述トリック系のミステリーが好きだったこともあり、主人公に関する仕掛けについては中盤辺り(風呂に関するやり取りや、とあるトップスの服を着るようにアドバイスされた箇所など)で何となく想像してしまいました。しかし、意識がそっちに傾いてしまった結果、他のどんでん返しで「ええーっ!」とたくさん驚いてしまいました。やはり自分の頭で思い描いていた世界が一変する瞬間は格別だと、改めて感じました(笑)。 他にも良かった部分を挙げるなら、これだけの大胆な仕掛けを行いながらも、しっかり納得できるような設定も練っていたことです。タイトルにもある「ミラーリング」を絡めた仕掛けと、それをちゃんと結びつけた上での結末も素晴らしかったです。個人的に好きなキャラは七榎です。 @ネタバレ終了 ⋯⋯と、ネタバレで長々と語ってしまいましたが、ミステリー系の小説が好きなら刺さる内容だと思います。また、夏の田舎特有の雰囲気も感じられて、真冬の時期に読むんじゃなかったと少し後悔してしまいました(笑)。シナリオの凄さを大きく感じる作品でした。ありがとうございました!
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ウィズファミリア~運命の輪と時の天秤~魔道士の主人公が、使い魔を召喚(ガチャ)したり強化をしながら資金を貯めていくクリッカーゲームです。2度目のチャレンジで無事に完走することができました。 自分もソシャゲは大好きなので、たくさんガチャできるシステムはとても気持ちが良かったです(笑)。どんどんインフレしていく資金に戦慄しつつ、無事にキャラクターをコンプリートできた時の爽快感は格別でした。 制作者としての視点から見ても、「こんなことができるんだ⋯⋯」と驚きの連続でした。放置するだけで資金が貯まるシステムやオートセーブ機能など、自分が「ガチャたのしー!」と騒いでいる間にも快適にゲームが進行していくので、ひしひしと技術力の高さも感じました。とても楽しかったです。ありがとうございました!
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ティアマトの星影完走まで約15時間〜16時間。12月中旬からプレイ開始して、ついにラストまで読み切ることができました。今日までノベコレのゲームを300作品ほどプレイしてきましたが、10時間を超えたのはこれが初めてです。シナリオだけでも膨大なボリュームになりますが、音楽・一部の背景・スチル・エンディング曲なども制作者様たちの手で丁寧に作られており、フリーゲームの枠を超えてしまうような、とんでもない熱量を持った作品でした。いやあ、本当にすごかったです。 物語は孤独を抱えている主人公・慧斗が、天体観測中に記憶喪失のヒロイン・眞都と出会ったことから始まります。全3部の構成になっており、個人的な感覚になりますが第1部が全体の50%ほど、第2部・第3部がそれぞれ25%ほどの分量になっています。 第1部は記憶喪失となっている眞都の謎を絡めつつ、登場人物たちの緩やかな日常が描かれています。個人的には例の食事シーンが一番好きです。慧斗が人間火力発電所と化した部分は笑ってしまいました(笑)。ただ、他の方も言及されていますが、自分も第1部の日常パートは「ちょっと長いかな」と感じてしまいました(長大な作品なので、やむを得ない部分ではありますが⋯⋯)。リアルタイムで読んでいる時はいろいろ不安になりましたが、それを一気に吹き飛ばしたのが第2部でした。ここからはネタバレとさせていただきますが、個人的には第2部があったからこそ、大きく心に残る作品に化けたと思っています。 @ネタバレ開始 第2部は今までとガラッと様相が変わり、宇宙を舞台にした内容になります。視点もヨナタンという一人の宇宙戦闘員に切り替わり、戦闘機に搭乗していた彼がとある惑星に不時着してしまい、そこでティアという不思議な少女に出会ってから第2部が始まります。 個人的には第2部がとにかく素晴らしくて、ずっと戦っているだけの人生を過ごしてきたヨナタンが、ティアとの交流を重ねていくうちにどんどん人間としての温かみを取り戻していく部分にとても感動しました。第2部は全編を通して綺麗で幻想的な背景が採用されており、美しい音楽と相まって、とても印象に残るパートとなりました。 そして第3部。ここからは眞都を主な視点としてクライマックスへと進んでいきます。第2部にとても心を動かされてしまった身なので、叙名さんと眞都が再会する場面が特にジーンときました。叙名さんが大判焼きを食べているだけで、「ぬおおっ・・・!」とした気持ちになりました。先に言ってしまいますが、『ティアマトの星影』で好きなキャラクターは叙名さんです。圧倒的に叙名さんです(笑)。 @ネタバレ終了 と、主にシナリオとキャラクターについて触れてきましたが、音楽も非常にクオリティの高い内容になっています。個人的にエンディング曲の『星の海』(完走後すぐにダウンロードしました)と、インストの『星影』が好きです。特に『星影』は、聞いているだけで優しい星空が頭に思い浮かんでくるような名インスト曲です(感想を書いている時は、ずっとこの曲を流し続けていました)。 と、長々と語ってしまいましたが、制作者様たちの凄まじい熱量を感じる壮大な作品でした。本当にお疲れ様でした。そして、素敵な作品をありがとうございました!
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箱の中のユメ売れない画家の主人公がある日、「絶対に開けてはいけない」と書かれた夢を叶える箱を拾ったことから始まる物語です。15分程度で読み終えることができました。 主人公の激しい葛藤に、胸がザクザクと刺されるような感覚になりながら最後まで読み切りました。創作分野で夢を持った人ならば、共感を抱く部分はたくさんあるだろうと思いました。いろいろ考えさせられるような素敵な作品でした。ありがとうございました!
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ユーステティア【2/3シナリオ追加】表向きは正義のために戦う美形の弁護士、しかしその裏では誰にも打ち明けられない性癖を持っている主人公ユーリスの物語です。1時間程度で無事に完走することができました。 めちゃくちゃ面白かったです!リーガルミステリーをベースにしながら、コミカルな部分とグロテスクな部分を織り交ぜた独特で軽快なストーリーにクリックをする手が止まりませんでした。メインストーリーのチャプターは16までありますが、短めに区切られていますので、あっという間に駆け抜けられる爽快感もありました。 @ネタバレ開始 物語のコンセプトも素晴らしかったですが、登場人物たちの濃いキャラクター性も良かったです。個人的には大きな二面性を持っている主人公のユーリスと、とにかくストレートな可愛らしさを持っているエポちゃんが好きです。Live2Dの立ち絵も積極的に動いているので、より物語に没入することができました。個人的にはSNSの炎上シーンや、ユーリスが必死でパンツを選んでいるシーンが好きです(笑)。 @ネタバレ終了 独特な魅力を放っている非常に面白い作品でした。ありがとうございました!
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おやすみなさい、お姉さん。主人公のお姉さんと、5人の少年が一緒に寝るまでの間を描いたオムニバス形式の作品です。30分弱で完走することができました。 心地よい時間を過ごすことができました。あまりに心地よすぎて、太陽が出ているタイミングでプレイしたことを後悔してしまいました(笑) イラストが非常に綺麗なことに加え、それぞれ個性的なキャラクターなので、日常生活ではどんな感じで接しているのかなと想像しながら彼らとのやり取りを楽しみました。個人的には青太くんが一番好きです。素敵な作品をありがとうございました!
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スリーシェルゲームシャッフルされた3つのカップの中から、ボールが入っているカップを選んでいく動体視力が試されるミニゲームです。幸運なことに初回の挑戦でノーミスクリアすることができました。 とても楽しかったです!システム周りが丁寧に作られており、小気味良い効果音もあって最後まで楽しくプレイすることができました(Macのブラウザでプレイしましたが、カップはサクサクと動き、とても快適でした)。楽しいゲームをありがとうございました!
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「名言」 心の栄養剤 ~恋愛バージョン~『「名言」~ 心の栄養剤』に引き続き、策也とららが、偉人・有名人の恋愛に関する名言を紹介していく作品です。こちらもおまけを含めて30分程度で完走しました。 @ネタバレ開始 2人のやり取りの心地よさは相変わらずで、おまけのラジウムに関する部分は「なるほど・・・!」と思いました。前作に引き続き、唸らざるを得ない素敵な名言が出てきましたが、個人的には「何もかも失われた時にも、未来だけはまだ残っている」と「その方と別れて良かったですね。だって別れたって事は運命の人ではない〜」のららさんの言葉が特にグッときました。ネガティブな状況に陥っても、考え方次第で気持ちを切り替えることができる、素敵な言葉だと思いました。素敵な名言をありがとうございました!
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「名言」 ~ 心の栄養剤制作者様の前作『エマルジョン』に登場する策也とららが、偉人・有名人・マンガの名言などを紹介していく作品です。おまけを含めて30分程度で完走しました。 前作を読了済だったので、真っ先に「2人の立ち絵が出てる!?」と驚きました(笑)。策也とららのやり取りも心地よく、彼女が簡単に照れてしまう部分は個人的に良かったです。 @ネタバレ開始 名言につきましても、さすが語り継がれているだけあって「なるほどなぁ、そうだよなぁ」と唸らざるを得ない言葉ばっかりでした。他にも、彼女が言っていた「どんなに知識を得ても、知識を知恵へ昇華できるのが人間なんじゃないかしら」と、おじいさんの「仇を恩で返せ」という言葉も個人的に素晴らしいと感じました。特に後者は、そこまでの境地に辿り着くにはどうすればいいんだろう、といろいろ考えてしまいました(笑)。心の栄養となる、素敵な作品をありがとうございました!
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真夜中の学校小学生のヒナちゃんと人面猫の化け猫さんが、学校の七不思議を巡っていく物語です。おまけを含めて50分程度で完走しました。 前作の『真夜中のお散歩』でも感じましたが、ホラーをベースにしつつも、ポップな絵柄と登場人物たちの軽快な会話が独特の雰囲気を出しているなと思いました。前作の某キャラクターが、すごく明るい感じで登場してきたのも個人的に衝撃的でした(笑)。 残酷な部分もあるけど、どこか軽やかなところが癖になる魅力的なホラーでした。素敵な作品をありがとうございました!