祀木陸のレビューコレクション
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怠惰な天使は夢を見るどこか退廃的で耽美なキャラクター、そしてイラストが目を引くゲームでした。
あとタイトルロゴが本当にオシャレ!!
ロゴ単体でも素晴らしいのですが、これがまた作品の雰囲気とよく合っていました。
@ネタバレ開始
エンド4がTRUEというか、真相エンドなのでしょうか。
陰で全ての糸を引いていた悪魔からのネタバラシ、というような印象を受けました。
しかし、悪魔の囁きというものは往々にして囁かれる側の持つ不満や猜疑心、恐怖心に依存するものであり
END4で悪魔が言っていた「あいつらみーんな、悪魔の手先なんだ」
というセリフも、もしかしたら真実ではないのかもしれません……。
@ネタバレ終了
世界観やストーリーの心臓部について、プレイヤーに説明してくれるタイプのゲームではないので
読み手の価値観によって多様な感想が生まれそうだと感じました。
素敵なゲームをありがとうございました! -
愛しのフランケンシュタインとても優しくて、ちょっぴり切ない夜の物語です。
丁寧に、そして心を込めて造り上げられたストーリーとグラフィック。
幻想的でありながら、どこか懐かしさを感じる世界がプレイヤーを優しく誘ってくれます。
秘密の友達の手を取って、夜の街を探検する……幼い頃夢に見ていたようなワクワクがこのゲームには詰まっていました。
謎解き要素もストーリーの一部として溶け込んでおり、没入感をさらに高めてくれます。
本当に素敵なゲームをありがとうございました。 -
ティラノフェス2020オープニング
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君と二人で歩くことが一人と一人が二人になるまでのお話。
温かい気持ちになれる作品でした。
柔らかく読みやすい文体も、温かなイラストも作品の雰囲気にとても合っていました。
加えてイラストは種類が豊富で、一枚絵も盛り沢山。
また、全編通してテンポが良かったので、するするとプレイすることが出来ました。
ただ、地の文の語り手が急に変わるので「あっ、今は凛ちゃん(優介さん)視点なのか」となることが度々ありました。
以下ネタバレを含む感想です。
@ネタバレ開始
優介さんの言う通り、彼の行動は
凛ちゃんの両親が正当な罰を受ける機会も
凛ちゃんが両親に自分の気持ちをぶつける機会も
三人が幸せになれたかもしれない未来も
全て奪ってしまったのだと思います。
(もちろん飛行機事故が起こったこと自体は優介さんのせいではないですから、彼自身が悪いわけではないと思います。
凛ちゃんの両親の死は、優介さんの行動によって生まれた、一つの結果でしかないのですから)
そしてあるいは、一番残酷なのは
「ひょっとしたら三人で幸せになれたかもしれない」「幸せな思い出もあったのかもしれない」なんて、凛ちゃんに気付かせてしまったことなのかもしれないですね。
けれど、だからこそ凛ちゃんが、あったかもしれない両親との優しい思い出を受け止めて、
なおかつ「手放すことが出来るような気がする」と思うことができて本当によかったなぁ……と思いました。
未来のことは分からない、とした上で
「ずっとそばにいてください」
と言ったシーンでは目頭が熱くなりました。
ここで二人はようやくお互いの気持ちを知って、ぶつけ合って、家族になれるんですよねえ……泣ける……泣いた……。幸せになってください。
しかし一つ気になったのが、凛ちゃんの脳裏によぎった優しい思い出、つまりハンバーグのお話です。
フラッシュバックした記憶の中、凛ちゃんの名前は呼ばれていないんですよね
(××という表記がされている)
本当にそんな温かな出来事はあったのでしょうか……
本当に父親や母親が凛ちゃんのためにハンバーグを作ってくれたんでしょうか……?
考えすぎでしょうか……考えてしまう……。
気になる……。
@ネタバレ終了
この家族二人に幸あらんことを……と願わずにはいられない、素敵なゲームでした。
次回作も楽しみです、応援しております! -
忍者爆発いいから爆発だ!
現代に生きる自称忍者が心の忍者を爆発させるゲームです。
何言ってるか分からない? やれば分かります。
サクッとプレイ出来る……というよりも、超特急で駆け抜けていくので体感1分でプレイ出来ます。
少しでも気になっているのなら、とりあえず爆発させていけよ。な?
@ネタバレ開始
自称忍者というか本当に忍者なんですよね、権三郎くん。しかも優秀。
いや忍者の里と仲間?の忍者爆発させてますけど。とんでもないな……
一方で丼四郎くんと一緒にいられれば幸せ、と平和を愛する一面もあり……非常に魅力的なキャラクターでした。
話は変わりますが、保健室の先生の足が喋ったシーン、大好きです。
そのあとの怒濤の選択肢も爆笑しました。
いやーハニートラップ仕掛けられた時って、こういう思考になるんでしょうね!
@ネタバレ終了
そしてこの作品の感想は、やはりこの言葉で締め括りたい……。
@ネタバレ開始
爆発オチなんてサイテー!(褒め言葉)
@ネタバレ終了
最高に笑えるゲームをありがとうございました! -
エレベーター ~性格不安定な僕とみよちゃんの物語~8bit調のBGM、ドットで描かれるテキスト、背景、そしてキャラクターたち。
細部まで作り込まれたノスタルジックなゲームでした。
会話と同時に流れるポポポ音がとても懐かしくて、それと同時にとても気持ち良かったです。
以下ネタバレです。
@ネタバレ開始
「けっこん」エンド、みよちゃんは可愛いですし主人公も格好いい。エンディングムービーにもグッときました。
が、個人的には「おしい」エンドがとても好きです。
「けっこん」エンドではみよちゃんの言う通り、エレベーターは「(おとこまえでしんせつな)かれのよさにきづく」きっかけになったんですよね。
一方「おしい」エンドでみよちゃんがしんせつな主人公に抱いた気持ちは、言ってしまえば吊り橋(エレベーター)効果によるもので、けっこんに至るほどのものではなかったわけです。
たった一夜の、たまたま遭遇したアクシデントによって引き起こされた淡い気持ち……すごく胸がギュッとしました。
主人公もこれから他の子とけっこんする、という描写がさらに胸を締め付ける……。
うーん、エモい……。
@ネタバレ終了
素敵な作品をありがとうございました! -
リベリオン・ヒーローズ友情・努力・勝利
そして恋!
洗練されたイラスト・UI
そしてテンポの良い会話で構成された少年漫画のような少女漫画のような、軽やかな恋物語でした。
ゲーム開始直後は獣人やヒーローごっこ、魔導書といった独自の世界観に戸惑いましたが
(現代"ファンタジー"という文言を見逃していました)
登場人物たちがそれらに囲まれながら、当たり前に日々を過ごしているので「なるほど、そういうものなんだな」と納得。
現代を舞台にした作品で、あえてスマートフォンの概要を説明をしないような感じでしょうか。
主人公、ほのかちゃんの視点で物語が進行するため、当然といえば当然なのかもしれません。
そしてこれは、最も重要な情報ですが……
この作品……めっちゃキュンキュンします。
胸キュンが山盛りです。
今作は五日間のお話なのですが、一日一日の描写が非常に丁寧なので
ほのかちゃんがヤマトくんに恋をしていく過程に無理がありません。
マウスをクリックしながら思わずニヤついてしまった場面も一回や二回ではなく……
というか、私は終始ニヤついていました。
ストーリーの主軸は恋愛なのですが、家族の絆や友情も感じられる温かな作風がとても魅力的です。
さて、以下はネタバレとなりますが。
@ネタバレ開始
差別的な国立高校
魔導書
獣人
後天的な怪力化
都心に存在している城
そして、ヒーロごっこ連盟
主人公たちのあずかり知らぬところで何かが起こっているような不可思議さも、この作品の魅力の一つかもしれません。
というのも、犬の獣人と同時に(いわゆる普通の)犬も存在しているんですよね。
一体全体、この世界の裏側にはなにが隠されているんだろう……? なんて考えて、ワクワクしてしまいました。
@ネタバレ終了
可愛らしい二人に幸あれ!
素敵な作品をありがとうございました! -
片恋スターマインまずは素晴らしい作品を生み出してくださった制作者様に感謝を。
これから夏が来るたび、花火が空を彩るたび
私は、この三人を思い出すのだと思います。
さて、主人公の桃耶ちゃんは、ゲーム開始時点で攻略キャラクターの一人である【紫季先輩】に好意を寄せています。
そしてもう一人の攻略キャラクターである【翔くん】のことは幼馴染みとしてしか見ていない。
正直なところ、私は【揺れる乙女心】の類があまり得意ではありませんでした。
既に好きな人がいる主人公で別のキャラクターを攻略するのは、ちょっとなあ……
なんて考えながら、ゲームを起動。
紫季先輩→翔くんと攻略を進めました。
そして撃ち抜かれました。
紫季先輩でもなく、翔くんでもなく、制作者の方が書き上げた巧みな描写に。
(もちろん紫季先輩にも翔くんにも心惹かれたのですが、撃ち抜かれたのは【描写】そのものでした)
『片恋スターマイン』は真摯で優しい恋のお話です。
いばら道かもしれない。
回り道かもしれない。
それでも主人公、桃耶ちゃんは真っ直ぐひたむきに「好きな人」のもとへと進んでいく。
「揺れる乙女心はちょっと……」と思ってしまう方にも、是非お勧めしたい作品です。
@ネタバレ開始
個別ルートにおいて、攻略キャラクターと観覧車に乗るシーンがあるのですが
紫季先輩ルートのこのシーン!
描写がすこぶる美しい。
「この一瞬を」
から始まる、二文。
やわらかな下心と、頑なな恋心。
その二つをここまで巧みに表現するとは! と思わず膝を打ってしまいました。
@ネタバレ終了
どうか叶うならば、夏にプレイしてほしい作品です。
けれど、あるいは秋や、冬や、春。
きたる夏の眩しさに焦がれながらプレイするのも一興かもしれません。