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柏尾結維のレビューコレクション

  • Ĉi tio estas…-人間改良計画-
    Ĉi tio estas…-人間改良計画-
    人間の規格を改める―― 人間とは何なのかという大変に扱いが難しいテーマに対して、一周のプレイ時間が10分程という表記を拝見し、どのようにまとめらているんだろうと惹かれてプレイさせていただきました。 何とか自力で全エンド回収! 攻略ページも明記していただいていましたが、見ずに最後までやりきることができたので達成感に浸っております。 @ネタバレ開始 人間の定義――何がそれを人間だと決めるのかについては、様々な作品で取り上げられる命題かと思われますが、現人間のα・動物(猫)のβ・機械のγという形で3区分に簡潔に分けられていたのが入りやすく印象的でした。 確かに、人間と異種族との関係を描いたような作品も、『人間と化け物のハーフ』や『人間を越えた人工知能』など、獣系・機械系が多いイメージです。 始めは『肉体が人間ベースであれば、各部位が変わろうがそれは人間だろう』というふうに決めてハンコを押していったのですが、脳を移植する系には大変に頭を悩まされました。 人間なのかどうかは、見た目ではなく心で決まる……というようなテーマの作品も多くありますが、完全に猫の肉体になってしまった存在を果たして人間と呼べるのか……と。 思わず、獣と人間のハーフとして、両者の狭間で苦しみ続ける主人公のようなものを連想してしまいました笑 個人的に一番刺さったエンドはEND2です。 詳しい説明などは、考察の余地を与えるために敢えて省かれていらっしゃるのかなと思いましたが……何となく、全人類が肉体を捨てて細胞くらいのレベルにまで還元されて、全員が理想の夢を見続ける……みたいな感じなのかなと想像しました。 争いが起きることもなく、みんなにとってずっと楽しい夏休みのような時間が永遠に続く……ある意味で究極的に優しい世界だなぁと。 END8については、全部押したらどうなるんだろうという好奇心から、割と最初の方に観てしまったので、全エンド回収後に改めて観させていただきました。 人間の規格なんて、決められるものじゃない。人間はそんな簡単じゃない。上から決めつけられるのではなくて、自分が何なのかは自分で探して自分で決める。そんなメッセージのように感じました。 彼女に明るい未来が待っていることを祈らせていただきます。 @ネタバレ終了 コンパクトなボリュームの中に込められた壮大で深いテーマ、楽しませていただきました。ありがとうございます。

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  • My fire
    My fire
    レトロ感のあるBGMと、合間に挿入される探索パートに興味を惹かれつつ、プレイさせていただきました。 ポイント&クリック式は昔ながらのADVゲームを連想させ、それがノスタルジーな作風とマッチしていて引き込まれます。 @ネタバレ開始 青炭が発見された経緯や政府の対応など、細部まで作り込まれている設定に脱帽です。しかし、あくまでも物語の焦点としては添乗員ちゃんとホノオくんに当てられ、ミクロな物語として表現されているのが素敵でした。 クリア後に設定を読み、ホノオくんが何故ああなったのか……その理由を知って、くぅ~っとなりました。本編では敢えて明かさず……添乗員ちゃんにもそのことはもちろん伝えない。男です。太陽です。 @ネタバレ終了 大きな世界の中で、ひと夏に起こった小さくも温かい物語という印象を受けました。ありがとうございました。

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  • サイバーパンク・プラネット
    サイバーパンク・プラネット
    タイトルの通り、サイバーパンクを感じさせるBGMと背景のエフェクト演出が刺さりまして、開幕からワクワクしつつ観させていただきました。 短い時間の中で彼女の人生が語られつつ、それに合わせてBGMの緩急も変化していくのが印象的です。 @ネタバレ開始 2人は再会できたのか、それとも夢の中なのか……気になるところです。 @ネタバレ終了 ありがとうございました。

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  • 異世界ザコ姫
    異世界ザコ姫
    世(ジャンル)が世なら間違いなく最強クラスの魔王様も、魔法の存在しない現世では全くもって格好がつかないザコ姫――そして、かつての失敗を心の中で引きずり続けていた高校生が、姫と出会う。とても入りやすいボーイミーツガールで開幕から2828しておりました。 そして向さんの作品といえばBGMもシナリオと一緒に作られていますので、今回もテキストとのシンクロを感じさせていただきました。音楽室の実装……いかがでしょうか?笑 @ネタバレ開始 『魔王』と『勇者』・『正義』と『悪者』など、いろんな物語において善悪を分ける記号は存在するかと思いますが、悪役と呼ばれた人たちにも、その人にしかなかった人生が存在して、何者にもなることができるいろんな可能性があったんだろうな、ということを思いました。 セリアは元いた世界では魔王であり悪でしたが、彼女が家族のために頑張っていたことは彼女自身しか知らなくて……誰も彼女のことを知らなければ悪のままで終わってしまうけれども、本当は好きなことに一生懸命になれる普通の女の子だったんだな……と。 明らかに、「こいつは絶対に悪い奴だ!!」って感じで出てきて絶対悪のまま倒されていくラスボスもいると思いますが、「いやいや、もしかしたら自分が知らないだけで、何故こうなったのかという物語はこいつにもあるのかもしれない」と考えると、いろんな作品の見方が変わるかなと思いました。 @ネタバレ終了 セリア様、こっちの世界ではザコでしたが、徐々に現世へも自然に慣れていくところとか、魔王としての賢さみたいなのを感じられて好きでした笑 ありがとうございました。

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  • WHO THE HELL AM I
    WHO THE HELL AM I
    アイデンティティをテーマに掲げた作品が好きでしたので、開幕から終始ワクワクしてプレイさせていただきました。 自分自身の魂の正体を探る……記憶も何も持たないまま、回想を追いつつ手がかりを集めて正体を推理していく……そしてそれが、最終的に作品全体のテーマにも繋がっていたのかなと感じました。斬新な設定です。 @ネタバレ開始 作中で提示される手がかりをメモしながら進めていったのですが、一発で正体を当てられなかったのが悔しかった……! 最初の銃声や、「嘘がつけなかった」という主人公、酒は嫌いじゃなかったかも……などなど。 トールは周りに合わせて生きてきて、シウも隠し事をしてたので、「嘘がつけなかった」と矛盾するからきっと違う……ロータスはかなり怪しいけど、逆にミスリードなのでは? と考えた結果、最初にスカーレットを選んでしまって失敗しました笑 アリーズから「消去法で選んだんだね?」と言われた時、ドキッとしましたね…… ですが、総当たりではなく、ちゃんと自分で考えてロータスを選べたので良かったです。終盤のセリフにもありましたが、「自分で決める」ことが大切なんですよね…… ゲーム内ではセーブ・ロードでやり直せましたが、現実ではそんなものなくて、一度の選択で失敗してしまったらもう戻れない時もある……それでも、自分で考えて自分で決めたことには胸を張れるようになりたいなぁと、そう思わせてくれました。 「きっかけ」を与えてくれたアリーズと共に過ごした時間は、記憶からは消えるけれども、魂には残る…… もしかしたらアリーズみたいな存在は現実にも居て、いつか自分の前にも現れる……もしくは現れていたかもしれない……そんな妄想さえ浮かんできました笑 ED前のシーンは、ロータスの自分探しの旅というだけではなく、4人全員の自分探しの旅なのかなと思いました。 回想で語られていた一人ひとりの悩み――自分の正体を推理するための要素だけでは終わらず、最終的にみんなが答えを出して「自分で決めて生きていく」という作品のテーマに繋がっているところが美しかったです。4人パーティーで始まる壮大なRPGのプロローグを観ているようでした。 @ネタバレ終了 長文失礼しましたが、大変面白かったです。 最後に……推しはシウです!! ありがとうございました。

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  • 魔法少女☆大失敗
    魔法少女☆大失敗
    タイトルに惹かれてプレイさせていただきました。 いざ戦闘が始まったら、全員インパクトのあるギャップを覗かせてくれるところがニヤリです。中でもローズは一番積極的というか、方向性がアレでしたので好きになりました笑 ありがとうございました。

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  • メアと牢獄の部屋
    メアと牢獄の部屋
    幼馴染の元気っ娘と優美なお嬢様の2人に迫られる主人公……と思いきやそこからのサイコホラー展開…… 最後のシーンでは、ユウタくんの心情と重なり切ない気持ちになりました。一人称が『童貞の僕』なところにも切なさがブーストされていたのですが、彼の最後の行動もピュアだったからこそなのかな? と思うと庇護欲のようなものも湧いてしまいました。 ありがとうございました。

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  • 【公開終了】世界征服はティータイムのあとで
    【公開終了】世界征服はティータイムのあとで
    壮大な世界の中に存在する小さな、けれど唯一無二の物語という感じでロマンチックでした。 @ネタバレ開始 可愛さとかっこよさを兼ね備えたイケメンはやはり良いなぁと実感しました。アポロ様のビジュアルが本当に素敵です。 ミルファに関しては、モノローグから滲み出る可愛さにニヤリとしていたのですが、最後のCGでドキッとなりましたね。魔王と村人、立場は違えど似た者同士でお似合いの2人だったんだなと。 寿命的に、アポロよりも先にミルファが天寿を全うしてしまうのは避けられない運命だと思うのですが、それでも愛を信じるというところにロマンを感じます。 この後どうなったんだろう……という想像を掻き立てられるような終わり方が心憎い演出だなと思いました笑 @ネタバレ終了 ありがとうございました。

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  • ゼロから奏でる七奇譚
    ゼロから奏でる七奇譚
    全エンディングをプレイし終えた時、心の中に素敵な余韻が残る作品でした。 コメディタッチで進みつつも、『大学生』という社会に出ていく前の最後のモラトリアム期間について触れるようなテーマもあり、自分にとっても刺さるものが多かったです。 お気に入りは黒川先輩です。親しみやすいアホな先輩キャラという時点で好きなのですが、やはりそれだけでは終わらず……! 締める時に締めてくれるというのが最高でした。 @ネタバレ開始 最後の七不思議ルートに入った時、どちらの選択がBADかTRUEかで一瞬悩んだのですが、信じた順番にプレイして良かったと思っています笑 もしかすると、零は他のルートでも時間をループさせており、ゲーム内で描かれた七不思議以外にも、たくさんの怪談が存在したのかなぁと考察してしまいました。 最後の零を捕まえようとするシーンでは、宵子だけでなくお嬢や黒川先輩もそれまでに抱えていた過去やモヤモヤを振り切って未来に進もうとする流れが美しかったです。共通ルートから収束していく感じが熱い。 嫌なことや否定したい過去は、多かれ少なかれ誰もが持っているものだと思いますが、そのおかげで得られたものもあるし、救われた人だっていますよね。クライマックスではそんなことを感じて、思わず涙してしまいました。 @ネタバレ終了 所々で触れられていた「おるばり!」シリーズについても気になりましたので、またプレイさせていただきたいと思います。ありがとうございました!

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