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柏尾結維のレビューコレクション

  • バトルポーカー・ハイスクール
    バトルポーカー・ハイスクール
    ティラノスクリプトでここまで複雑なポーカーゲームが作れるのか……! と、驚くばかりでした。 ストーリー自体も、ポーカーの勝敗によって全てが決まる紡花高校を舞台に、四天王との戦いに勝ち残りながらラスボスである理事長との決闘を目指すという、シンプルかつ爽快感のある流れになっており、ポーカーバトルと合わせてストーリーも最後まで楽しむことができました。 ポーカーバトルにおいては、スキル設定が勝敗を分けるカギになることが多く、やはりここが普通のポーカーではないこのゲームならではの醍醐味かと思うのですが、倒した相手のスキルを自分のものとして取得し、次回以降の決闘で使用できるようになるというシステムが、王道ながら面白かったです。 今持っているスキルではこの決闘に勝つのは難しいから、別の対戦相手を探して、そこから取得したスキルで再挑戦を図ったりなど…… 試行錯誤を繰り返しながら、戦う度に強くなる……「戦いの数だけその力手に入れる」という感覚を得られて序盤から熱くなれました。 自分はポーカーにはあまり明るくなかったのですが、この「スキル設定」と、倒した相手のスキルを取得しながら進んでいくというシステムが面白く、決闘を繰り返す中で自分自身も「フルハウス」や「フォア・カード」を引き当てた際に直感的にわかるようになり、交換や防御などの駆け引きも自分で考えながら楽しめるようになったので、光介と一緒に自分も強くなっていくような気持になれて楽しかったです。 @ネタバレ開始 ラスボスである理事長は流石に強かったです笑 これまでの決闘では、剛士が『とりあえずぶん殴る』を使ったり麗依羅が『閃光のゴーマイウェイ』を使ったりしても、あおいから取得した『詠唱:燕の帰る場所、星を導け』で手札を入れ替えることによって殴れていたのですが、まさかの入れ替えた後に再度入れ替えられるという燕返し的な戦法を使われ、苦戦しつつも「やはりそう簡単にはいかないよなぁ」と2828してしまいました。 何度か負けましたが、逃げてばかりでは勝てないと思い、『燕の帰る場所』を外して『絶対の矛』をセットして勝負に挑みました。 敵が『閃光のゴーマイウェイ』を発動したら、こちらも同じく発動させ、直後に入れ替えられたとしても、ランクの高い数字同士の比較になるなら勝機はあるはず……! 上記の戦法で何とか理事長のHPを削り、最終的に『絶対の矛』のバフ状態で『閃光のゴーマイウェイ』を決めてフィニッシュできたのでとても気持ちよかったです。 そして、本当の本当に最後の決闘は……右下が空いていたのでやはり何かあるだろうなと思っていましたが、そう来るかと……笑 オマージュ元の作品に関しては、自分はあまり通ってこなかったのですが、「相棒」と「もう一人の僕」を思わせるようなこの展開……わかる、わかるぞ……! となっておりました笑 カードとの決闘は、雪之丞の時のように絶対的な体力差があったり、厄介なスキルを使われたりといったこともなく、常に拮抗した状態での緊張感のあるバトルを楽しむことができました。 お互いにギリギリまでHPを削ったところで、どちらかが倒れればそこでこの勝負は終わってしまうと感じ、どこか切ない気持ちに…… 最後にこの決闘を……ゲームを終わらせたくないと思わせてくれるような、そんなラストバトルでした。 @ネタバレ終了 スキルを駆使したポーカーバトルは本当に細部まで作り込まれており、裏でどんな変数が動いているんだろうと舌を巻くばかりでした。 本格的なポーカーバトルと、短いながら爽快感のあるストーリーの両方を最後まで楽しませていただきました。 光介の闘いはこれからだ……!!

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  • 幽体探偵 ~誰ガ私ヲ××シタの?~
    幽体探偵 ~誰ガ私ヲ××シタの?~
    幽体離脱を駆使して、事件の真実を追う探偵もの。 探偵×オカルトという好きなジャンルだったため、気になってプレイさせていただきました。 探索要素ありのサウンドノベルということで、物語の進行が探索先の選択と移動を繰り返しながら進む形式となっており、個人的にはこちらの部分がこのゲームをやっていて一番楽しかった点です。 探偵もののサウンドノベルで、プレイヤーがマップを頼りに自ら移動と探索を繰り返して手がかりを入手していくというシステムは、やはり自分で『捜査している感』を得られて好きです。 @ネタバレ開始 主人公を殺害した犯人が誰なのか……幽体離脱後、肉体へ戻る前にその真相を確かめる物語なのかなとプレイ前は思っていたため、実体と幽体を状況に応じて使い分けながら捜査していく構成は緊迫感があって面白かったです。 実体と幽体の切り替えも、北見神社でプレイヤーが任意に行えるため、「ここで殺されてしまったなら、幽体になって向かえば先に進めるのではないか」と考えながらプレイできたので、終始ワクワクしながら進めることができました。 エンディング後の世界では、まことには大変なことも待ち受けていそうですが…… 「血は……血に過ぎない」 「その人が、どんな人間であるかを決めるのは、『血』ではなく『魂』から生じた意思」 上記のセリフがとても印象的で希望を感じられました。 幽体離脱という要素を、事件を捜査するための舞台装置だけではなく、最後に作品のテーマとして掲げて終わるという点が非常に美しく、達成感を得られました。 @ネタバレ終了 ゲームシステムとシナリオの融合はやはり浪漫です。 ありがとうございました。

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  • 放課後アムネジア
    放課後アムネジア
    学園・恋愛・サスペンス 好きな3つの単語が並んでいるところが目に飛び込んできたため、気になってプレイさせていただきました。 記憶喪失となった主人公が、学園生活を通して自分の記憶を取り戻していく流れですが、その過程で学校内で起こる事件を解決しつつ、なぜ記憶を失ったかの手がかりが断片的に手に入っていく構成は面白かったです。 キャラ同士の掛け合いもテンポが良いので、終始楽しくクリックし続けることができました。所々で飛び出してくるメタネタやパロディにもニヤリです。個人的には唐突にチャ〇研ネタが出てきた際に吹かざるを得ませんでした。 移動パートにおけるコマンド選択に関しても、捜査している感を得ることができましたし、移動しても話が進まない寄り道の箇所についても、小ネタや伏線らしきものが散りばめられており楽しめました。こういうのは全部回収したくなります。 @ネタバレ開始 1週目のラストに関しては、王道的に会長と結ばれ、やっぱり犯人は優衣だったか~怪しかったもんなぁという感じでしたが、いざクリアしてみたらタイトル画面が変わっていたので、え……? となりました。 もう一度最初から始めてみたところ、ひたすら既読スキップが続くのでどういうことだろう……と思っていましたが、途中で1週目とは完全に違う展開を辿っていったので、まだまだ楽しめるじゃないか! とテンションが上がりました。 プレイヤーにとっては、優衣がヤンデレで犯人だという情報は既にわかった状態で進行していくので、1週目にあった「サスペンスとミステリー」の違いに関する話をここで思い出したりしました。 てっきり2週目は、優衣がなぜ凶行に走ったかをより深堀していく話なのかなと思ったら、会長に出会わないまま話が進行していき、別のところでは蒼介のいない生徒会が1週目に近い行動を辿っているという構図は感慨深かったです。 最終的に優衣とも結ばれるエンドが見れて良かったですが、2週目のルートにおける会長は蒼介と関係を築けず、目に傷も負ってしまったんだなと考えると心憎い構成だなぁと唸らされました。 2つのルートをクリア後に表示されるタイトル画面では、笑顔の会長と優衣が描かれていますが、真ん中が線で区切られているところから、この2人の結末は同じ世界では共存し得ないんだな……と思い、達成感があったと同時に、多重構成的な作品の余韻を感じられました。 @ネタバレ終了 ラブコメ要素、サスペンス要素、キャラ同士の掛け合いなど、最後まで楽しませていただきました。ありがとうございました。 ところで……ぜひファンディスクで、たなびたいことがあるんだ。 一度でいいから、今度こそ生徒会ングゴーを見せてくれ。ネネ、いいだろう……?笑

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  • 閉鎖性ホワイトアウト
    閉鎖性ホワイトアウト
    奇病を抱えた少年・少女たちが互いに協力し合い、謎の施設からの脱出を目指す…… UIも白を基調としたものになっているのが病院らしい雰囲気を感じられましたし、メニュー画面やSEの演出も凝っていて引き込まれました。個人的にはキャラが喋る度、昔のRPGのように効果音が鳴るのが好きです。 「制限時間付き選択肢」も面白く、お話が進む度、徐々に「決断が難しい選択」が迫られていくようで楽しませていただきました。 @ネタバレ開始 3つのエンドへ分岐する最後の選択肢の際、直感的に良くないと思う選択から選んでいったのですが、ED1→ED2→ED3の順に見ることができたので、良かったです。 ED1では自分が助かるために、ホタルがコハクとマリンを犠牲にするエンド…… ここでダイヤの口からヒントが得られたので、誰を犠牲にするかで「自分」を選んだ場合は2人が犠牲になってしまうんだろうなというのは予想できたのですが、ここのエンドでダイヤの心情も語られていたのが印象的でした。 最後に登場したダイヤというキャラが狂気的だったので最初の伏線を忘れかけていましたが、母親を病気で失った無念から、ゴスペルの完成を目指そうと思い至ったであろう彼女……ED3に到達する前に、黒幕である彼女の心情を見れたのは良かったです。 そしてED3については、ホタル自身が自分の答えは「選択肢の外」にあると信じ、全員で生還を果たしたエンド……ここにきて、「制限時間付き選択肢」がシナリオ的にも大きな意味を持ったというのが面白かったです。 「選ばない」ではなく、新しい選択を探す。プレイヤーではなく、ホタルが自分で答えを選択したかのように感じられて、達成感がありました。 ボーカル付きで流れる最後のムービーもお見事でしたし、アイドル活動を再開できたマリンや、家族と再会できたコハク、カイトと約束を果たせたホタルなど、ムービーの中でそれぞれのラストがイラストと共に語られる演出には感動しました。 最期まで3人が、どうか後悔のない時間を過ごすことができたことを祈るばかりです。 @ネタバレ終了 マリンがめちゃくちゃ可愛かったです。 ありがとうございました。

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  • 白妙、紺に交るる
    白妙、紺に交るる
    現代を舞台に怪異に立ち向かう管理局のお話。 現代社会の裏側で繰り広げられる異形との闘いはとても好みのジャンルだったので、最初から世界観に引き込まれていきました。 管理局のメンバー同士の掛け合いもテンポが良く、シリアスなシーンでも下ネタや互いへの冷やかしを交えつつ怪異に対処していく姿は読んでいてニヤリでした。 また、戦闘シーンのBGMがとても良く、流れた瞬間に日常から非日常に切り替わるような緩急を感じられてテンションが上がります。 主人公の瑞花が、玖墨くん、黒さん、ヴァイスさんといった仕事仲間と共に事件を追いつつ、誰と捜査するかを選択することによってルートが分岐します。 @ネタバレ開始 全ルートをクリアさせていただきましたが、玖墨くんであれば御堂霞の存在から、黒さんであれば刀からといった形で、それぞれ違う切り口から事件を追っていくのが毎回面白かったです。各ルートを重ね合わせてみると、ひとつの事件の全体像が見えてくるようでした。 関連作品の方は未プレイだったため、浅葱一子に関しては完全に初見でしたが、キャストトークにおけるお話などもお聞きし、彼女に関する物語も非常に気になりました。 各ルートの最後で瑞花が吐露する自身の本当の声……プレイしていて、ここだけ「声が違うな」というのをはっきり感じたのですが、クリア後のキャストトークにて「瑞花自身は普段自分を演じている」といったニュアンスのことをお聞きし、なるほどと納得しました。 彼女の呪いが解けるのかどうか……といった問題は残りましたが、仲間の前で少しだけ素を見せた彼女を見ると、今後に希望が感じられるようでした。 また、個人的に好きなシーンは、瑞花が寧々に言った「大人だけど、ガキでいられるんだ」というシーンです。 軽口を叩き合いつつも、人の想いを救うために奔走する怪異管理局……キャラクターとこの作品の世界観を象徴するようなセリフだなと感じました。 @ネタバレ終了 怪異の設定やキャラクター同士の関係性、声優様によるボイスなど、作り込みの凄い作品でした。作者様の演じ分けもお見事です。 ありがとうございました。

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  • 三日月とストレイシープ
    三日月とストレイシープ
    サイコメトリーの設定に惹かれてプレイさせていただきました。 能力発動時の演出がかっこよく、ヒツジが能力を発動させるシーンでは毎回クリックするのが楽しかったです。 1時間程のプレイ時間の中で、好感度によって左右されるルート分岐や戦闘パートなどといった楽しみもあり、ED数も多くて楽しめました。 @ネタバレ開始 全ルートを拝見したうえで、おまけコーナーに入り、「人生は選択の連続である」とシェイクスピアの引用を見たときにはハッとさせられました。前半の選択肢が後半に影響を及ぼすという要素も大きかったと思われます。 1時間という尺の中での細かいルート分岐、そして最後に流れるボーカル有りのメインテーマとクレジットムービー、商業作品のようなクオリティで舌を巻きました。 @ネタバレ終了 個人的にはリックが可愛くて好きでした。 ありがとうございました。

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  • 円環舞踏機エンジェライン(チャプター1配信)
    円環舞踏機エンジェライン(チャプター1配信)
    3Dで表現されたロボットによる、戦闘パートが実装されたアクションノベルということで、以前から気になっておりました。 作品を起動し、タイトルと主人公機が映るカットでまずテンションが上がります。UIも作品の世界観に合った近未来テイストのものとなっており、作品への没入感が高まりました。 タイトル画面で『はじめから』を選択し、地球をバックに映った機体が大気圏に向けて加速していくカットが入ったところでそのまま本編へ―― 印象的な始まり方ですね。 また、主人公の名前を自由に設定できるだけでなく、操る機体名もオリジナルでつけることができるというのは、嬉しい人にはかなり刺さるポイントではないかなと思いました。 どちらもデフォルトネームが存在したため、自分はそのままでプレイしましたが、プレイヤーが独自に考えた名称が機体として作中に登場するというのは、とても粋なゲームデザインだなと感じます。 そして、おそらくこの作品の醍醐味として力を入れて作り込まれていらっしゃった戦闘パートについても、簡単すぎず難しすぎずな難易度で、非常に緊張感を持って楽しめました。 主人公機のターン、敵機のターンごとにゲージが表示され、左右に移動するバーを適切な位置でクリックして止めることにより、成功と失敗が判定されて攻撃や回避が発生。どちらかの体力が0になるまで戦闘が行われるというシステムでしたが、 ゲージにおける成功範囲も一定ではなく、変わることもあるためちょっと油断すると失敗してしまうこともあり、ステージが進むにつれて敵も強くなっていき、最後まで楽しめました。 戦闘に入る直前、AIによって毎回入る同じフレーズも、ノベルパートと戦闘パートの緩急をつけてくれているようでメリハリを感じます。 攻撃のモーションも、機体によって多種多様に作られており、また、戦闘後に入手したポイントで機体も強化していくことができるため、基本的にノベルゲームを作ることが想定されているティラノソフトで、こんな直感的に楽しめる戦闘ゲームが作れるのかとワクワクしました。 個人的には、ここが一番に推したい点です。 シナリオについては、ネタバレを含みますので下記より書かせていただきます。 @ネタバレ開始 主人公のユウ(デフォルトネームで呼ばせていただきます)は、明るく社交性のある女の子という感じで、自然と感情移入しながら話を読み進めることができました。ロボットものの女性主人公って良いですよね……AI改めアイちゃんとの掛け合いも好きでした。 Chapter1は主にカズマさんと関わる話になっていたかと思いますが、ユウをレディと呼んでエスコートしようとする姿に微笑ましさを感じつつ、抱えていた自身の過去を彼女に話し、それがラストへの伏線として繋がっていく構成には唸らされました。 戦闘パートの共闘では、オートで援護射撃する姿も見せてくれつつ……どこか飄々としながらも確かな実力を兼ね備えているキャラという感じで好きです。 後はミランダとシルヴィアの双子コンビなど、ロボット越しなので姿は見えなくとも、印象的なキャラたちがステージを進めるごとに出てきて楽しかったです。 この辺りで個人的に一番好きなシーンは、「私と歳あんま変わらなそうだから」という理由で2人をちゃん付けで呼び出すユウですね笑 初対面の相手にも自然とコミュ力を発揮できる女の子は可愛い…… 道中、いろんなキャラたちと関わりつつも、カズマさんで始まりカズマさんで終わるというのが最も印象的でした。いやほんと、あの楽曲のチョイスは素晴らしい……煉獄庭園さんのDEATH TONEは名曲ですね。 次元解放の後、いったいどんな展開が待ち受けているのか……世界観に纏わる謎もまだまだ根が深そうで、三大勢力が今後どのような動きを見せていくのかが大変気になりました。 進捗も拝見しておりましたが、これから機体もさらにたくさん登場していきそう……? 胸熱です。 @ネタバレ終了 Chapter2以降も、また楽しませていただきたく思います。 ありがとうございました!

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  • イクリプスフォール -神の断罪-
    イクリプスフォール -神の断罪-
    並行世界へ入り込み、乱れた運命を修正する形で世界を救うという設定と、金に目が眩んだクズ男主人公という点に惹かれてプレイさせていただきました。 GAという設定は、まるで『職業:異世界転移主人公』みたいだなぁとワクワクしつつ、異世界へ転移してその世界で役割を全うするという異世界モノのフォーマットを、『既定から外れた運命を元に戻す』という世界観の設定に則ってメタ的に演出されている点に脱帽しました。 主人公・春人のアウトローな雰囲気に惹かれつつ、飄々としながらも頭の回転が速かったり、心の奥底では芯が強かったり、こういうキャラクターが個人的に大変好きというのもありつつ、主にエミルとの漫才や他作品のパロネタ、ネットミームの連発に笑わせていただきながらテンポ良くプレイできました。 春人は基本、誰に対しても対等に渡り合うというイメージがありましたが、サキには苦手意識を持っているエミルが、春人に対してはツッコミで男口調が飛び出したりして肩の力を抜いているというのも、2人の関係性みたいなのが垣間見えて好きでした。 @ネタバレ開始 最初の転移では、なるほど……結菜たちと競い合う形で、どちらが先に異世界の運命を正すのか、二組の勝負というわけか……という認識で進めていきましたが、世界を救うという方法で結菜が取った方法を見て、一気に引き込まれていきました。 学術用語についてはマージナルマンが一番印象に残っています。 nの世界と並行世界、境界を跨いでいるからこそ、自分自身を見失う可能性がある……実在する学術用語に基づき、それを異世界モノの型へ落とし込んでいるところが非常にワクワクします。 後半では並行世界内での物語が中心になりつつ、だんだんとその世界の背景が明かされていくという構成に引き込まれました。 春人がミィシェイを始めとした仲間を増やしつつ、スフィルを殺すのではなく、助けたうえで世界も救うという第三の道を模索して奔走する様がかっこよかったです。 結菜とどう向き合うか……というのが今後の課題として残りそうですが、あの世界に存在する暗部の動向、エストナはどうなってしまうのか……などなど、第二部への続きが非常に気になる終わり方でした。 個人的には、リエルが何かジョーカー的な役割を秘めているのでは……と予想しております笑 @ネタバレ終了 キャラクターのテンポ良き掛け合いと、設定に引き込まれ、最後まで止まらずにプレイできました。 第二部も楽しみに待たせていただきます。 ありがとうございました。

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  • 妄想狂ザナトリウム
    妄想狂ザナトリウム
    『妄想』がテーマに絡んできそうなストーリーのあらすじと、ビジュアルに惹かれてプレイいたしました。 設定されているキャプチャには、いかにも妄想を掻き立ててくれそうな女の子たちのえってぃ姿が並んでいるかと思ったら、右端の1枚には不気味にこちらを睨みつけている化け物が…… 妄想というテーマの元、ネガとポジが混在しているかのようなカオスな世界観を連想し、ワクワクしながら始めさせていただきました。 @ネタバレ開始 妄想・幻覚症状を引き起こす病気ということで、序盤はゲルニなどの脳内キャラがナチュラルに登場してきている雰囲気に笑いながらプレイしておりました。 次第に挿入されていくダークな演出や、幻覚なのか現実なのか何とも言えない微妙な演出などが入り、今のは現実……? 妄想……? といった具合に、ワクワクするような混乱をさせていただきました。 モネの反応を見るに、リザはきっとこの世には……というのは何となく気づけたのですが、そもそもの精神病院の環境、そしてルイがここにやって来た経緯そのものまで虚構だったという辺りからかなり引き込まれていき、彼の行く末をじっくりと見守っておりました。 病院で出会ったリザと過ごした日々も、彼女の存在そのものも、ただの妄想だったかもしれない。けれど、そこから勇気をもらったという事実は現実であり、モネが見せていた病院での偽りの日々は、現実を生き抜くために必要な妄想だったのかな……と。 そんなことを考えつつ、胸を昂らせながらクライマックスまで駆け抜けました。 全エンドを見させていただきましたが、最序盤のワンシーンにて、血塗れで倒れている少女が「お兄ちゃん」と呟いていたことをすっかり忘れており、最後の最後に最初の伏線を持って来るという構成には舌を巻きました。 いったいどこからが現実で、どこからが妄想なのか……そもそも自分は、この世界は本当に存在しているのか……考え出したらキリがない命題です。 今ゲームをプレイしている自分も、ホルマリン漬けされた脳みそが電極に繋がれていて実体などないのではないか……嫌な妄想を展開しつつ、タイトル画面へ戻ったらまさかのイラスト……!! 一番最後に度肝を抜かれた次第です。 個人的に一番好きなのは、TRUTHエンドでした。 真実……ということですが、妄想でも現実でも、自分が本物だと信じることが大事なのかな、と。 少なくとも、妄想に逃げ込んでいたルイが自分の意志で現状と向き合い、成長を遂げることができたのはリザとモネがいたからだと思いますので、2人が妄想の存在であろうと、そうでなかろうと、ルイがみんなのために戦ったこの物語は本物なんだろう……と。 @ネタバレ終了 CGの枚数がかなり豊富で、最後まで止まらず一気にプレイさせていただきました。 困っている時やばつが悪そうな時に、目を逸らしながら自分の髪を触っているモネの立ち絵が好きです。 ありがとうございました。

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  • 教室に巣食う悪魔たち
    教室に巣食う悪魔たち
    最後の最後まで、本当に楽しませていただきました。 コマンドで手帳や資料を選択しながら読み進めていくシステムにワクワクしつつ、音楽まで任意に変更可能なオプションに、ものすごい作り込みだ……と、序盤から圧倒されました。 手帳を選択し、回想という形でゲームの物語が進行。音楽を変える際もCDを入れ替える旨のテキストがセリフとして用意されており、システムとシナリオが惜しみなくリンクしているゲームデザインが気持ち良いです。 @ネタバレ開始 手帳から過去を振り返りつつ、逢沢さんと横河先生の心中事件がひとつの軸としてキーワードになっていたので、どんどんと引き込まれていきました。 途中から、「もしや語り手こそが犯人なのでは……」と考え始めたのですが、杉田くんから自首の話を振られた時に、「いや、逆にミスリードか……」と頭を悩ませつつ、その後に予想の斜め上を行く展開があり、思わず舌を巻きました。 確かに振り返ってみれば、一人称が「私」だったり、部屋に居る時の後ろ姿で妙に髪が長かったり、いろいろと手がかりがあったなぁと。 テキストの位置につきましても、基本的に語り手が下で、話し相手が中央に表示されていたかと思うのですが、時々違和感を覚えた部分もありまして、もしかして、そこにもミスリードの仕掛けがされてあったりするんでしょうか…… 石山先生が武田先生の部屋に入ってきて、2人が別人だと判明したシーンでは、我孫子武丸氏のあの小説を連想しました。 過去作を拝見したところ、『かまいたちの夜』のオマージュ作品も作ってらっしゃいましたので、もしかしたら……と笑 しかし、それだけでは終わらず、さらなる真犯人の登場で、最後まで二転三転する展開に驚かされるばかりでした。 犯人は一番最初に登場している……個人的に、腑に落ちる様式美だなと感じます。 ゲームバッジにつきましても、「何故ここに配置したんだろう?」と、最初は疑問だったのですが、アレを通じて、プレイヤーは彼と一緒に全てを観ていたということだったのだなぁ、と。 クリア後のLIMEも閲覧しまして、全ての真相を知ったうえで武田先生の履歴を振り返ると、「こういうことだったのかぁ」と改めて納得させられる部分もありつつ、それと同時に切なさも込み上げてきました。 真犯人の彼女は、『遠からず会える予感がしてます』とメッセージを送っていましたが、それがスタッフロール後のあのシーンのことを指していたのか、それともさらにその先のエンディング後の世界の話をしているのか…… 彼女と彼があれからどうなったのか、非常に気になるところです。 @ネタバレ終了 多くの参考文献を元に練り込まれた緻密な世界観と、各所に散りばめられた伏線を怒涛に回収していく展開が非常に魅力的な作品です。 ありがとうございました。

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