徒原のレビューコレクション
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ギプス約半年ぶりにプレイさせていただきました。 初プレイ当時は感想投稿などの機能を理解していなかったこともあり、今になっての投稿失礼します! まるで小説のような手触りと読み口で、なおかつ映画のような空気感と時間の流れを感じる、とても素敵な作品です。 @ネタバレ開始 初プレイ時は初夏、今は冬の入り口ですが、それでもなお夏の教室の暑さや二人乗りしているあいだ肌を撫ぜた風の温度を感じられるほどの没入感は、何度プレイしても素晴らしいの一言です。 怪我をきっかけにどこか自棄になってしまっていた橋本(さん)の「らしくなさ」に切なくなったり、かと思いきや、意外とこういうとこは橋本(さん)「らしさ」なのかも……?とあまり深く知らない彼女を知ったつもりになったり、やっぱり全然わからなかったりと、いい意味でやきもきさせられます。 立ち絵がある分表情や視線から汲み取れるものも多く、橋本(さん)にばかり気持ちと意識が向きがちですが、地の文で思考や気持ちが読み取れる中村(くん)の頑張りがとてもいじらしく、そのことにも堪らない気持ちになります。 誰かを傷つけないように、嫌な思いをさせないように、ちょっとでも今が楽しくなるように、できれば前を向いてくれるように……そういう尊く眩しい気遣いや努力がまっすぐ伝わってきて、きっとそれは橋本(さん)にもまっすぐ伝わったんだなあ、と思うと、じわじわ涙が浮かんで、気づいたら鼻をすすっているのです。 クリア後、余韻に浸りながら読むおまけがまた最高です、永遠に味がします。 橋本(さん)が立ち直れた(あるいは吹っ切れた)のは中村(くん)のお陰かもしれないし、元々橋本さんはきっとそんなに弱くなかったんだろうなあとも思うし、だとしても二人があの夏の時間を過ごせたことはお互いにとってかけがえのない思い出になるに違いなくてぇ……と無限にろくろを回しています。 @ネタバレ終了 こんなに優しいお話に、何度でも読みたいと思える宝物のような作品に出会えたことが、本当に幸せです。 またいつかプレイして、何度目かもわからない涙を流すのが、今から楽しみです。 改めまして、素敵な作品を制作・発表してくださり、ありがとうございました!
