ルーアのレビューコレクション
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モノマギア・カンタービレ~プレリュード~Xでモノマギア・カンタービレのことを知り、すごく気になっていたのでプレイさせていただきました!ストーリーもイラストもすごく綺麗で技巧が凝らされており、素晴らしいに尽きます。もうこの時点でお金を払いたいくらいです。 プレリュード版での内容は本編には反映されないとのことでしたが、キャラクター一人一人のストーリーがとても丁寧に作り込まれていて、正直「これがここだけのお話だなんてもったいない……!」と感じています。これをプレイしただけでも十分この世界観を体験できて、とても満足感がありました! 感じたことが多すぎてキャラクター全員分の感想を書いていたらとんでもない長さになってしまいました。お忙しければ飛ばしながら読んでいただいて構いません。 @ネタバレ開始 ・ベリル とにかく可愛い!!!ベリルさんも主人公も可愛い!!!護衛の子たちのやり取りも可愛い!!!TRUEENDルートは終始ほっこりした気持ちで読み進めることができました。 目の前に文句なしのイケメンがいるのに、自分の食欲を優先する主人公には驚かされました。まさか「断る」が正解とは思わず、一周目はまんまとBADENDの方に行ってしまいました……主人公の、あのケーキへの異常な執着は何なのだろう…… 再会したシーンはとにかく甘くて、ニッコニコで「可愛い〜〜」と言い続けていた気がします。ベリルさんが本当に優しくて良い人で、主人公を心配して叱っていたり、ヘリオルートでは弟を大事に思っていたりと、お母さん味とお兄ちゃん味が両方楽しめるお得な方でした。 ただ、そんな彼も闇が深そうなのが心配です……どうか幸せになってほしい…… ・ラヴァ 紹介文に"TRUEENDのみ"と記載されており、どういうことなんだろうと思っていましたが、本当に最高のお話でした!良すぎて、もうこれでプレイするのをやめてもいいんじゃないかと思うほど感動して号泣しました。 幼少期ラヴァくんの悲痛な問いかけは、彼の必死さと罪悪感がありありと伝わってきましたし、その後の老婆の「助けるのに理由なんてない」という言葉に胸が痛くなりました。またそれと同じことを主人公が言い、実際に老いた猫を身を張って助けたところは、まさに"主人公"でした。ラヴァさんも純粋で本当に良い人で、どちらも幸せになってほしい……! ・クロム ルート全部通して、本当にいい子だなぁ……としみじみ感じました。 冒頭の主人公に対してのあたりの強さに「これ本当に仲良くなれるのか……?」と心配していましたが、TRUEENDで無事に良い関係になれて、ふたりを保護者のような気持ちで眺めていました。クロムは多分まだ歳も若いですし、高校生の初々しい恋愛を見ているようでした。 クロムルートは他の方々のルートより比較的謎が多く、緑の国の役職や、何代目かの主人公(?)に関してもわからないことだらけで、モノマギアの世界観をもっと知りたい!と思える内容でした。 ・ラピスラズリ 身分の高い相手に対しても強かに接する主人公もかっこよかったですが、ラピスラズリさんが王という立場、そして自分の在り方について悩むところに、彼らしさが伝わって一気に惹かれました。途中の、彼の「母上、申し訳ありません。俺は……皆から愛される、良い王にはなれませんでした」というセリフには涙が滲みました。彼が心穏やかに眠れる日々が訪れることを願うばかりです。 また主人公の話す寝物語が面白くて、カラフに出された問題に自分も真剣に考えてしまうほど没頭して読み進めました(笑) ストーリーが面白かったのはもちろんですが、その配役には思わず笑ってしまいました(笑) シンの国王(役:ジェット)は口調が普段と違いすぎですし、侍女(役:セレナイト)に関してはもはや女性ですらない!!思わず3度見してしまいました。ラピスラズリさん含めて新衣装が見れたのはありがたかったですが、あの配役にはどういった意味が……? ・セレナイト 最初、彼に対して「優しそうでほわほわしてる」と感じていた私が間違っていました。ジェットさんとは違うベクトルで恐ろしい……ホラーゲームを彷彿とさせました。 しかしそんなセレナイトさんにも「あの方」に関する事情や、幼少期に主人公と何らかの関わりがあるようで……このプレリュード版だけでも、彼の恐ろしいだけでない切なさが感じられました。 しかし彼がやたら著作権に引っかかる名前を挙げていたのはなんだったのだろう……時々挟まれるギャグがまた恐ろしさを引き立てるといいますか…… ・ジェット 以前からXの方で公開されているイラストや情報を拝見していた中で、一番気になっていたキャラクターでしたが、想像を上回るインパクトと底知れない恐ろしさを感じました……!彼のこの世界での立ち位置や、セレナイトさん曰く「悪企み」についての謎が深まるばかりで、冬発売の製品版がますます楽しみです! 他のキャラクタールートの最後に必ず登場し、主人公を元の世界に戻すため(?)探していたとのことですが、毎回いいところで連れて行ったり、主人公がそのルートで経験したことについて言及していたりなど、実は見つけた後もしばらく見守っていたのではないかと考察してしまい……謎が多いです 自ルートでは、よくわからん小者モブをスマートに追い払ってくれたり、笑顔が優しかったりと、TRUEENDではとにかく甘かったですが、BADENDでは一転して残忍になって恐ろしかったです。立ち絵のイラストも同じなはずなのに、笑顔がドス黒い。〇し方のあまりの過激さに、プレイしている最中は心を無にして「ジェット鬼つええ!」とだけ感じるようにしていました(笑) 話し方も所作も〇し方もとにかくスマートなジェットさんでしたが、セレナイトルートの例のシーンに思わず「じ、ジェットさん???」となってしまいました(笑) あそこから最後までとにかく面白くて、シリアスな場面のはずなのにずっと笑っていました(笑) それまでどんなことがあっても気品のある振る舞いを崩さなかったジェットさんが、急に化けの皮が剥がれたかのように怒りを露わにしてセレナイトさんを罵倒(しかも語彙が割と可愛い)する姿を見て、私の中のジェットさん像がガラガラと崩れていくのを感じました。あのルートのおかげで、以前よりさらに彼が気になるようになりました! ・ヘリオ 圧倒的弟!!!可愛い!!!強がりで素直じゃないけれど、実は優しくて自分の感情に正直なところがとても可愛かったです。長男末っ子共に可愛くて、ぜひとも1度話し合ってわかだまりをなくしてほしいと切に思いました…… まだまだ若いのに、身分の差や環境に縛られて生きていく辛さには胸が締め付けられるようでしたし、だからこそ彼には前を向いて、自分の好きなように生きてほしいとすごく思うようになりました。あと普通に抱きしめたい。頭撫でてあげたいです。 主人公とのやり取りも、お互い不器用で純粋で、"虐げられる者の苦しさ"を知っているからこそ、真に分かり合えるんじゃないかと感じました。
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8番目のアリス【完全版】完全クリアの瞬間思わず拍手してしまうくらい、素敵なお話でした…!! 不思議の国のアリスがモチーフの深みのある独特な物語で、進めていくうちに後の展開がどんどん気になって惹かれてしまい、一気に完走してしまいました! イラストも可愛らしく、豪華なことにスチルが何枚もあって、物語にさらに没入できました。このお話は可愛さもありますが不気味さもあり、良い意味でなかなか複雑な世界観ですが、その雰囲気を損なわない美麗で少し歪なタッチがとても良かったです。 声優の方々の演技も本当にお上手で、臨場感あるボイスはまるで演劇を鑑賞しているようでした。登場キャラクターは皆個性が溢れていますが、それらが声によってしっかりと生かされているのは、フリーゲームながら素晴らしかったです! ストーリー含め、全てが秀逸すぎてお金を払いたいくらいです。この作品がとても大事に制作されたのがよく伝わりました。こんなにも素晴らしい作品を世に出していただき誠にありがとうございます…! @ネタバレ開始 個人的に印象的だったことのひとつは、一番目のアリスと八番目のアリス、そしてその他のアリス達の差別化がされていたことです。一番目は傲慢さや残酷さ、しかしその中に年相応の幼さがあり、二から七番目はやや機械的なところが感じられ、八番目は光へと向かう主人公のような、勇敢さと自分の意思を持っているのを感じました。そしてその差別化の背景には、不思議の国のアリスの作者であるルイス・キャロルの心情や背景が投影されているという設定がとても素敵でした。最後は彼女たちなりの幸せなエンディングで終われたことが救いです。どうかアリスのお姉様含め、皆で楽しく幸せに過ごせていたらいいなと願うばかりです(帽子屋は頼むからこれ以上暴れないでくれ…)。 @ネタバレ終了
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探偵アリスの破戒衝動「とんでもないゲームに手を出してしまった…!!!」というのが私のこの作品を通しての感想の大部分を占めるくらいに、良い意味でなかなか一筋縄ではいかないお話でした!この作品を制作してくださりありがとうございました! ノックスの十戒をあえて全破りするという荒業と、登場キャラクター達の様々な思惑が絡み合った、複雑かつ、とても面白いシナリオで、さらにそんなに頭が回らない私でも楽しく追えるミステリ作品でもう、圧巻としか言いようがありません。 私は最初なんの情報もなしにナイトメアモードを選んでしまい、しかも『十戒全部無視して普通の推理小説ではまずないであろう奇想天外なトリックによる殺人(人ではないが)が展開されます!』というようなことが表記され頭を抱えましたが、そんな状況でもお話の中での説明が詳細で分かりやすく、おかげでノーヒントで真相まで辿り着くことができました!普段ミステリ作品を嗜まない方や、頭を使うのが苦手な方でも充分に楽しめると思います。 @ネタバレ開始 十戒の中に『探偵自身が犯人であってはならない。』とあり、見た瞬間『あ、これアリス犯人だ』と決めつけていましたが、実は共犯(計画犯)で、直接的に殺した犯人ではないと分かり、してやられました(笑)まぁ共犯も犯人ですから… アリスが殺人計画を思いつき、実行犯であるメアリー・アンにさせたのも明確な動機はなく、『犯人が愉快犯であるという可能性』の伏線が回収されたのもかなり衝撃でした。実際会話内でアリスが突拍子もない発言や行動をしている節はなく、私が当事者でもアリスを信じてしまいそうなくらい、彼女の『常識人のフリ』は完璧で、思わず舌を巻いてしまいました。やはり不思議の国の滞在者はみんなもれなくイかれている… 作品解説も拝見させていただいたのですが、チェシャ猫が『アリスらしき人物が毒入りクッキーを置いていたのを見ていた』というところにも驚きました。全てを知っている彼だからこそ、探偵の味方側である探偵助手になったのも納得ですね。 アリスの本性に勘づいても尚、アリスに好意を抱いている面には底知れない怖さがあり、この作品の設定の奥深さを感じられました。 またこれは私の個人的な趣味なのですが、ゲーム内BGMにクラシックが多用されていたのも嬉しかったです!作品の雰囲気によくマッチしており、心地よくゲームを進めることができました。音量などの細かい設定ができるようになっていたのも良かったです。 文章も素晴らしく、キャラクターの感情や状況がよく理解できましたが、アリスが二つ目の隠し通路を見つけた際『a「でも、せっかく見つけたんだし。こっちの通路も探索してみましょう。」』のところで謎のaがありましたので、そこさえ修正していただければと思います… @ネタバレ終了 最後に改めて、このような素晴らしい作品を生み出してくださりありがとうございました!ゲーム内で出てきた作品の数々や、ミステリ作品自体にも興味が湧いてきたので、今後少し手をつけてみようかなと思います! (また、登場キャラクターはみんな個性があって面白い子ばかりだったのですが、個人的には白ウサギさんが一番好みでした…!!理知的でやや傲慢?な性格が癖に刺さってしまって…(/ω\*) 私は不思議の国のアリスをモチーフにした作品に興味を抱きやすく、いろいろ拝見しているのですが、あのような性格の白ウサギはあまり見てこなかったので、斬新だなと感じました)
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救済『死の世界』で過ごすキャラクターたちを見守りながら、彼らがどんな物語を紡いでいくのか、終始ハラハラドキドキしました!癖のある彼らがどんな人物なのか、『死の世界』とはなんなのか、それらを知っていくうちにキャラクター全員に感情移入していき、最後は感動で涙が溢れてきました。 @ネタバレ開始 キャラクターみんな良い人(人外の方含め)で、優しい世界だと思いました。このまま日常を見守るのかと思いきや、『死の世界』がどんどん大変なことになっていき…時に考察しながらこの後の展開を読み進めるのが楽しかったです!最後はみんなが幸せになるのを見て、心から安心しました。どうかみんなのこれからの生が幸福いっぱいでありますように! 章の狭間で度々メフィスト様に哲学的な質問を投げかけられた際は、うんうん唸ってしまいしばらくストーリーが進みませんでした笑(結果全てメフィスト様の予想外の答えだったようで少し嬉しかったです)普段このような問について考えることは少ないですが、このゲームのテーマになっているのもあって、改めてそれらの問に向き合って考えるきっかけになりました。一番最後にメフィスト様のメタさの理由そのものがメフィスト様にとっての救済だと知った時は、全てが繋がったことにスッキリしたと同時に、このゲームの壮大な伏線回収に感服いたしました。 問と同時に、キャラクターの解説が定期的に確認できたのは個人的に嬉しかったです!なにせみんな癖が強すぎて…全てのキャラクターの設定が作り込まれていて、作者さんのこの作品への愛を感じました。それにしてもみんな情報量が多くて、この物語とは関係なくみんなの小話的なものが見たいと思いました! また、解説を見る度に蝶(ライト)の位置が変わっていたように感じましたが、あれには何か理由があるのでしょうか…? @ネタバレ終了 長くなりましたが最後に、このような素敵なゲームを制作してくださり、本当にありがとうございました!作者様にも祝福があらんことを!