yamada taroのレビューコレクション
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幽体探偵 ~誰ガ私ヲ××シタの?~探偵ものが好きなので楽しく遊ばせていただきました。 ネコ探しや秘密の部屋への侵入など、クエストもあり飽きさせない作りに 感心しました。そしてメインの秘密が徐々に解き明かされ、最後にあっと驚く どんでん返し・・・そして力強いメッセージ。 @ネタバレ開始 実体と幽体離脱の2パターンで探索できるアイデアも面白いですね。 もう少し主要人物の立ち絵がシルエットではなく表情が読み取れるグラフィックに なると、さらにのめり込めたかなと思いました。 @ネタバレ終了 とても感動できる作品を、ありがとうございました。
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ハシゴ町の忘れ物わざとスーファミ時代くらいの粗さで仕上げた背景やフォント、シルエットのみの 人物立絵などは、名作「かまいたちの夜」あたりを思わせるノベルゲーム草創期の 雰囲気を再現されたのだと思います。町の不穏な空気感や落とし物を探すクエスト、 しかし他の人物に助けられたり助けたりしながら脱出への道を探していくプロセス にのめりこんでしまいました。 @ネタバレ開始 「忘れ物」は、ヒロインが電車に忘れた物と、町の過去に神様を鎮めるために しなければならなかった簪のお供えというダブルミーニングになっているのも 上手いなあと思いました。 @ネタバレ終了 恐怖だけでなくしっかり人間ドラマも備わっており、とても読み応えのある作品、 ありがとうございました。
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未来伝言板何気ない日常の中からふと不思議な世界への入り口が開いて、吸い込まれるように ドラマが展開していく・・・そんな作品、大好物です。 展開によっては中盤以降、ホラー風、サイコ風など、どう転ぶだろうと関心をもっ て読み進めました。でもとてもハートウォーミングで余韻も残る終わり方へとつな がっていき、不思議な現象の理由も納得のいく説明があり、満足いたしました。素敵な作品でした。
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雪消え立絵が少々幼い感じでちょっと敬遠してたのですが、ところがどっこい(古) シナリオは本格ミステリーホラーロマンスでした。特にヒロインと主人公の過去や 馴れ初め、なぜそんな服装や今の状況に至るのかが徐々に明かされていく様は カタルシスで脳汁つゆだくになりました。最後の終わり方も儚く寂しくも、 美しい余韻が残りました。素敵な作品を遊ばせていただきありがとうございました。
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ミラーリングサマー何を書いたらいいのか迷っています。何を書いてもネタバレになりそうで・・・ 生き別れた双子の兄を探しに行くちょっと粗暴な主人公、それに妹気取りで纏わり 付いてくる家出女、ウザ絡みの会話のやり取り、夏に田舎町の古神社に辿り着き、 そこで陰のある美女と出会う・・・あ~、お決まりの設定かと、正直途中で読むの を止めようと思いました。しかし! @ネタバレ開始 こうも前半に散りばめられた軽薄な描写が後半で伏線となっていたことを知り、 どんどん謎に結び付き回収されて重厚な社会的サイコミステリーにつながってい く様は、見事の一言に尽きます。さらに最後をハッピーエンドに締めくくる風呂敷 の畳み方は、クリーニング屋に出してもこうは奇麗に畳めないでしょってレベル。 脱帽ものでございます。 @ネタバレ終了 詳しく語るのがはばかられて困ってしまうのですが、作中で心に残った一言は、 七榎さんの「浮気の一つくらい、許すのが女だろう?」です。彼女が言うので 色々な意味で深みを感じさせられました。 もう一度、いやもう2~3度、読み返してみたいと思います。 ありがとうございました。
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深海の探偵読みやすく、テンポもいいのでサクサク最後まで進めました。 一本の映画や2時間ドラマを見ているようで、楽しかったです。 ストーリーもなかなかまとまっていて、この探偵のシリーズ物なんかがあれば 続編を見たいと思いました。主人公とヒロインの軽妙な掛け合い好感がもてます。 @ネタバレ開始 さて、ちょっと気になった部分 1.ノートのタイトル「人魚とその生態系」は、「人魚とその生態」で良いのではないでしょうか? 2.足を手術してまで探しに来た母の歌声を、クライマックスまで忘れてるってどうなのでしょうか? 3.ボイスレコーダーを故障させるためだと思いますが、島に着くときに海に落ちるのは、やりすぎでは・・・その後荷物の着替えが普通に出来てたりするのはちょっとご都合主義かも?あと「ボイスレコーダー」が「テープレコーダー」になってるところがあったので統一表記にした方が良いかも。 4.依頼主が女子高生なのに何百万円も用意できるって現実的ではないような・・・そこは博士の妻や成人した娘とかのほうが自然かも。 5.母人魚の立ち絵だけちょっと違和感が。人魚は老けないのかもしれませんが、ちょっと若すぎるし、表情が明るすぎるし、他の人物の立絵とのタッチが違って浮いてしまいます。 6.一本道のノベルも良いのですが、全体として短めなので、少し選択肢などを入れて、尺を伸ばしたり、読者の参加感を加えたりすると、後半のクライマックスに向けてさらに盛り上がりが出てくると思いました。ゾンビとの格闘場面や聞き込み調査などですかね。 @ネタバレ終了 とても読後感のよい素敵な作品を遊ばせていただきましてありがとうございました。
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八ツ神のかみかくし立絵やシステムなど、フリーソフトとは思えないクオリティは凄いの一言です。 設定としての学校、小さな町、主人公の家庭環境や性格、そこに7人もの 転校生がやってくる・・・しかもそれぞれに個性あふれる美男美女が! この展開に引き込まれ、開始から最後まで休みなく駆け抜けてしまいました。 また文章力が高く、変に読み返して意味を咀嚼しなくてもスルッと読めて しまうところも、最後まで読者を飽きさせない、ノベルゲームの基礎がしっかり できている点として好きな点でした。 @ネタバレ開始 残念な点は、多感な高校生となって人間臭い願望や葛藤するのが神様たちのテーマになっています。恋を知りたい、未来が見えなくていい、ピアノを弾きたい、世の知識を遍く知りたい、神としての能力ではなく自分の努力で周りに認められたいなど。また学生らしく、総合の授業で「おかしいと思うルールは変えていくべき」などの意識も醸成されます。さらに冬や宗助だけでなく、夏美や商店街のおじさんなど、一人一人の人間たちとも生活のなかで触れ合い、人間の魅力を感じていくのですね。あとは冬の父が死んだときの回想「大事な人が失われたときの辛さ」などにも触れています。これらの材料を散りばめているのですから、エンディングの一つは「これまでしてきた器の人間を攫うルールを破壊し、町の人間たちの暮らしをそのまま守る」結末が必要ではと感じました。「そう思って掟を変えようとしているけど、とりあえず今回は器の人間に犠牲になってもらう」では説得力に欠けます。掟を変えるなどの結果、7柱の神様が本当に人間になって、その後冬たちと人間臭い生活を送っていく・・・そんな姿まで期待するのは一読者としては期待しすぎでしょうか。 また別の話題になりますが、作中であまり絡みの無い友達の妹が、あっさり冬の 彼女に収まっているというのも、読者としては置いて行かれてる感がぬぐえませんでした。 @ネタバレ終了 とても良いところがたくさんの作品ですので、今後のバージョンアップなども期待 しております。今後も素敵な作品をお待ちしております。応援しています。