枯之葉のレビューコレクション
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インザキャロル水色と桜色と爽やかな色彩で描写された陰鬱とした世界に仄暗さを纏ったトーリの表情、8bitのレトロな雰囲気と曲全体からほんのりとした冷たさを漂わせているBGM、そしてストーリー。全てが作者様が表現したい物語や哲学に合致していて、短いながらも心に残るものが確実にある、読み応えが大きい一作でした。 @ネタバレ開始 エンディングはαルート含め全て通過し、その中でも個人的にはEND2の結末に惹かれるものがありました。 主人公は自分がトーリの求めているキャロルではないと打ち明けることを諦め、トーリもまた自らが求めるキャロルを蘇らせることを諦め、どうしようもない諦念の中に陥りながら「日々は続き」という終わりへと温もりと共に緩やかに描かれている様は、END1やEND3、αルートを通った後で再び読み返すと、想定した物語の結末だけでなく、それに辿り着けなかった結末も用意することのできるノベルゲームという媒体だからこそ体感が可能な味わい深さを感じられて、その後に訪れる二人の結末を想像しながらじっくりと噛み締めてしまいます。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をプレイさせていただき、ありがとうございました。