ツキシキのレビューコレクション
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ブックエンド・シャワールーム「石化破壊」というインパクトのある単語に惹かれてプレイ。 いわゆる“ヘキ”な部分がまず目につきますが、インパクトだけで収まらない、しっかりと完成度の高い短編でした。密度が濃いと言っても良い。文絵システムゲーム性、どこをとっても魅力的です。 グラフィックは、統一された世界観を感じる色味、矯正されたポーズの中で隠し切れない個性が見られる立ち絵、そして大胆な構図のスチルが魅力的。 テキストも世界観がわかりやすく、ゲーム紹介文にもなっているセリフもそうですが、比喩や皮肉が味わい豊かです。タイトルの真意にいたってはもう、惚れました!! このセンス大好き!! システム面も、しっかりオートモードや文字送り速度の設定ができてとても助かりました。この機能、省略されることもあるので、実装されていると嬉しくなります。メニュー画面の出し方も素敵。 ゲームとしては、「選択」する楽しみがあってとても良かったです。こう、操作を挟むことでより(色々な意味での)衝撃をダイレクトに感じる気がして……。 @ネタバレ開始 彩度低めな画面だからこそ、赤色が本当に映えて良いですね~!! どのシーンでも赤が登場するときはビリっと緊張感があって最高です。 あえて選択したのとは違うキャラのエンドに辿り着くところにまず「やられた!好きだ!!」となりました。 四人いると中盤からは流れ作業になりそうなところが、さらに意外性のある二人がいることで最後まで「次はどうなってしまうんだ……!?」とわくわくが続きました。 キャラの個性が序盤からすぐわかるし、せりりとりすりすは意外な面、ここなんとなーるーは突き抜けた面があって、ほんっとにどのキャラも魅力的でした! 好きキャラ一人選びたいけど選べないよ~!! ネーミングがかなり個性的なのも好きです。 「連帯責任」というワードで箱庭世界観を早めに匂わせてくるのも巧いなあと……。なによりシンプルにこの世界観が素敵……。 エンディング回想が「歴史書」で残されているセンスにも惚れます。 りすりすエンドの爽快感からの、すぐ下のなーるーエンドの落差が、良い~! せりりの統一とここなんの分裂もそうですが、それぞれ対比されているのもよりキャラを深く感じられて好きです。 @ネタバレ終了 さくっと遊べるのに、遊び終わってからはものすごくたくさんのものが溢れてくる感じがしました。 満足感たっぷり! 素敵な時間をありがとうございました! -
やがて君も虎になる。タイトルから察せられるモチーフからして、こじらせている思春期の子達の話だろうなと思いつつ読み始めたんですが、期待通りの展開と予想外の展開が両方味わえました! 相変わらず驚きがあって好きです。 立ち絵の表情変化の細やかさも素敵。 未完成の少女たちが、荒削りの言葉で本音をぶつけるのって、良いですよね……。 @ネタバレ開始 特に立ち絵が変化するあの2つのシーン(虎の前兆と、虎が牙を剥くところ)は最高でした! やっぱりこの作者様はスチルや立ち絵の迫力が本当に良い……。 序盤から「今まさに自立してない子から自立しろと言われるのはなかなかに皮肉だな~」と感じていたので、こういった随所のちくちくした言葉がやはり狙ってのものだったとわかったのも気持ち良かったです! @ネタバレ終了 -
そして星辰は結びを辿るそれぞれの星座に応じた部屋が用意されている屋敷……。このシチュエーションだけでもうニヤッとしてしまいました。あきらかに、“何か”の始まりを感じるロケーションって良いですよね。 いわゆる嵐の孤島のような、クローズドサークルもの。普通だと疑心暗鬼が始まりそうなものですが、本作は集められたメンバーが年若い兄弟同士というのがポイントです。 @ネタバレ開始 ちょっとうまくいっていなかったり、ある程度派閥があったり、板挟みになった弟が良い口実に使われたり……。兄弟間の関係性やパワーバランスが生々しくて好きです。 何より、タイトル回収がとても気持ち良い!! このタイトルを置いて他にはないなという満足感が得られてた素敵でした。 @ネタバレ終了 -
Bruise(ブルーズ)ウェイトを長めに取りながら、しっとりと進行する作品。 画面全体の色合いとシナリオの噛み合いが印象的です。 @ネタバレ開始 青色がタイトルの「Bruise(あざ)」にかかっているようで美しい。 画面端が赤く染まるその色がまさに青痣で、痛ましくて素敵な演出でした。 「お弁当」を通じて念入りに言い聞かせてくるセリフ回しが本当に好きです。 彼が手を伸ばしてきたときの彼女の反応もそうですが、匂わせるやり方で明瞭に伝えてくるのが巧い……。 別れの時だけ優しくしてくる彼氏、完全に愛想が尽きているとむしろ怒気に拍車がかかるものですが、本作の彼女は胸を痛めるところが本当にいじらしいです。 大好きなんだね。大好きだったんじゃなくて、大好きなんだね……。 @ネタバレ終了 痛ましくやるせなく、そして美しい作品でした。 -
ロベリアの/嘘まず、背景画面が美しい! また、音量調節やテキストスピードなどの欲しい機能が全部整っていて助かりました。 序本結の構成も掴みが良く、冒頭で戸惑っても短編ですぐ全体像がわかるようになるので読みやすかったです。 読みながらセリフだけで設定を察せられるようにできているのもすごい。 @ネタバレ開始 彼らの名前が出てこないところも、外の人たちからはレッテルや役どころだけで判断されているという感じが出ていて好きです。深読みかもしれませんが……。 表面だけだと優しく切ない自己犠牲の愛ですが、綺麗なだけでなく、ドロッとした部分が根っこにあるところも好きです。奪わずにはいられない彼女と、その彼女の決意を無しにしてしまう彼。このエゴもまた悪意と言えるのかな……でもそれってどうしようもない、というか、そこがあるからこそ燃え盛るような迫力と勢いのある愛が生まれるわけで……等々。 タイトルの「/」にも色々想いを馳せたくなってしまいます。 お別れ、切断、視点の違い……。 @ネタバレ終了 たった1つの記号に含められる意味が多くて、やっぱり深みのある作品だなあとしみじみ。 良い時間を堪能できました。
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SLATE!(スレート!)スクショの糸目男さんに一目ぼれしたのでダウンロード。 短編連作に近く、「選択肢に戻る」のコマンドも遊びやすくて素敵。 @ネタバレ開始 いきなり展開が始まっても、数文で「こういう状況でこういうキャラなんだな」とスッと理解できて、すっごく自然で読みやすかったです……。文章力……! 「purchase benefits」「製作委員会」など、細やかなところにもニヤリ。 ちょっと乙女向けな演出もあって、そっちもプレイするゲーマーとしてはすっごくときめいてしまいました。嬉しかったです! ヤンデレエンドとハグ、ありがとうございました! @ネタバレ終了 「???」に納得感のある、良い後味の作品でした。 たのしかったです! -
家出少年ほころくん家出少年と優しいおねぇさんとのほのぼの生活! 注意書きのとおりしっかりとホラーでしたが、前半の癒される日常シーンがあるおかげでギャップがあって楽しかったです。 @ネタバレ開始 表情変化にじっくりと時間を取ったり、じわじわとスチルの全貌があらわになったり、と思えば衝撃的なスチルがいきなりお出しされたりと、緩急をつけた演出がとても巧みで……。 最後に見ることになるおねぇさんのあの笑い方は、あえて“美しくない”ように描いているんだろうなとも思えて、ここもホラーらしい後味の悪さを感じて素敵でした。 それから、敬語混じりの一人称おれなお兄ちゃん、とっても好みです!! お声に心配やほころくんラブな感情が全力で乗せられていて、ボイスも最高でした。 また、クレジットを拝見して、おねぇさんのボイスも作者様が手掛けていらしたことにびっくりしています。多彩。 @ネタバレ終了 セーブがプレイヤーに対して親切な設計で、さくっと遊びやすかったです。 -
きみはウオズミハルタじゃない。ティラノゲーってこんなこともできるんですね!? 魚住春太さんが実際に活動されているのも併せて、次元の垣根を超えるような、不思議な感覚が楽しめました。推しが私に個人的な何かをしてくれるわけではないんだけど、一方でたくさんのものをもらっている。この一見矛盾しているようでしていない感覚、Vのオタクとしてとても共感しやすかったです。 @ネタバレ開始 推しと恋人になりたいわけではない、というところもまた、深く頷いてしまいました。推しているが思い通りになってほしいわけではないという。 無許可の人工音声?人力朗読?化やAI化など、「ものすごい勢いでグレーゾーンに突っ込んでいく作品だな!?」と慄くところもあったんですが、この引っ掛かりも最後には綺麗に回収されるのがすごいなあと……。改めてしみじみとさせられました。 @ネタバレ終了 色々な意味で新鮮で楽しかったです! ありがとうございました! -
Bit_Family! [ELENarogant.exe]メンテナンスを進めていくうちにじわじわと画面やBGMが変化していくのが楽しい! プレイヤーが入力したり選んだりして自由度があるゲームなのかな……?と思って始めたんですが、意外と一本道でした。でもこの、自由なようでいて息苦しい感じが、エレナ自身のままならなさとリンクしている気もしていて、作品自体にはすごく合ってるシステムだなあとも思います。 あとこの作者様のゲームには毎回言いたくなるんですが、キャラデザが最強です! かわいい! オシャレ! モチーフの盛り込み方が巧い! 好きです~! @ネタバレ開始 (好きな方には申し訳がないんだけど)エレナを突き放す選択肢を取りたいなあと思っていたので、メンテナンス終了後のドライな反応に満足。青と黄の演出だけでなく、起動時のメッセージなど、細かいところも凝ってて好きです。@ネタバレ終了 -
【Valentine's・Junkies】図書館で出会った理想の女性の秘密を知っちゃうノベルゲー。ろこあちゃんがとにかくキュートで好き! フィルタ効果?のおかげか、どのスチルも印象的で魅入りました。 @ネタバレ開始 ろこあちゃんが不穏なのはある程度察せられますが、だからこそ主人公側の情報にはおっと驚かされました。プレイヤーへの叙述トリック入ってる作品好き! 前作があるのでなおさら引っかかったのかもしれません。 @ネタバレ終了 さくっと遊べてザリッと苦い後味の良作品。ありがとうございました!
