うさぎ○○○のレビューコレクション
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『IF』がユメであるように、夢がゆめであるようにまず、サウンドの良さ、背景1枚絵のレイアウトの質や細かさ、操作し易いシステム性と短いゲームながら非常にレベルが高く驚いた。(中にはフリー素材のようなものもあるらしい?未確認です。この界隈のことは何も分からないです。市販品はこんなに条件の揃うものはお高い。同人ゲーム凄い。私はただただ無知です。) 優れたBGM、画面の奥に広がる彩られた世界、軽妙なテキスト。ゲームの世界観に入り込むのに苦労することはこれっぽちもなく、違和感なく読み始めることができた。シナリオの導入が興味のある内容だったことも要因かもしれない。 @ネタバレ開始 書店にノベルゲーが置いてあるというシチュエーションが好みでそこからのお仕事ものに繋がる流れやバックヤードの話が面白かった。具体的なエピソードが次々と出てきて、自分のバイト時代も思い出す。(某オタク御用達書店の倉庫) ここから一旦挫折の流れがあり、何度か視点の切り替えがあるのだが、意外性もあり丁寧な描写も良かった。 読み終わっての通しの感想は、作者さんの考えや悩み、思いの丈を知れて良かったなということ。他人の経験や体験を追体験してるような感覚のゲームだった。加えて読み易いテキストや面白いテキスト、場面転換の意外性も諸処で感じ短尺1本のノベルゲーとしての面白さや巧さを堪能することができた。ノベルゲーを作りたいノベルゲーというメタ構造の中で、ノベルゲーの良さは光っていました。 テキストの中でも意外性のある切り返しが面白く、でも雑に感じるところもあった。作者が乗っている感じや苦労してそうな場面、全部含めて楽しむことができた。 同時にもしこのゲームに商業性を加える(余計な妄想ですが、長尺化とかしたら)としたら、もっとキャラクターを安定させて(特性や感情面等々)、キャラ周辺の描写を増やし、言動の一貫性、静から動への流れなど(助走が短いような気がした)もっと劇として膨らませる必要があるのかもしれない。 明らかに余計なテンプレート的指摘で申し訳ありません。商業作を楽しむことに慣れ切った私がプレイしながら思いついたのはそんな些末なことで、作家さんの伝えたい思いの前ではただただ白ける揚げ足とりでしかない。しかし余計であるが言いたくなってしまった。(作者さんが恋愛も盛り込みたそうな色気を出していたのを感じたのもあるかもしれない。) @ネタバレ終了 総じて貴重なノベルゲーム体験だったので作者さんに感謝したい。ノベルゲームのことを色々と考えるきっかけになる1本でもあった。