heart

search

Hyssopのレビューコレクション

  • リパリアの肖像
    リパリアの肖像
    こちらと同じモチーフの前作もプレイさせていただいていたのですが、今作は原作のエッセンスを大切にしながらも、作者様らしさがより色濃く表れていて、個人的には前作以上に惹かれる作品となっていました。 文章は文学的で美しく、叙情的な表現が独自の世界観をしっかりと形作っています。同様にイラストも繊細で美しく、文章と組み合わさることで物語そのものがいっそう美しく際立つように感じられました。 @ネタバレ開始 成長後の姿の立ち絵が見られるとは思っていなかったので、出てきたときは驚きましたがどちらの立ち絵も素敵で、変化が感じられて大変よかったです! また、全ての選択肢がエンディングに関与するという構造も、とても遊びやすく、プレイヤーの選択への手応えを感じられる作りになっていたのが印象的です。 END2 最初にたどり着いたのがエンド2で、個人的にはとても好きな結末でした。 主人公のお相手が別の女性と結ばれるという展開が癖というわけではないのですが、物語としては自然な流れに思え納得感がありました。 まるで『ローマの休日』のような、つかの間の出会いがもたらした煌めきのような印象でほんの少しの切なさと余韻が残る印象的なエンドでした。 このエンドを見たことで、作品に対する信頼が生まれ「これはぜひフルコンプしたい!」と思わされました。 END3 物語らしい展開が主人公エドナに訪れなかった場合の、静かな結末という印象を受けました。もし王子に出会わなかったとしたら、こういった人生になったのかもしれない……と、ある種の可能性を見せてくれるルートだったように思います。 王子は「関わったらおしまいの男」という感じがあり、関わらなかったプレイヤーの私は「これはもうこれ以上近寄らないほうが……」とエドナに声をかけたくなってしまうのですが、実際に出会ってしまった彼女がどうしようもなく惹かれてしまうのも、すごくよくわかり……。 このエンドでは静かに王子からフェードアウトしていく形でしたが、他のルートではエドナの人生に何かしらの波紋を残していくあたり、本当に罪作りな人だな……と感じました。 END4 エドナがナイフを手に取り王子の部屋へ向かった瞬間、 「これは……自害エンドでは!?」と思ったら、やっぱり自害エンドでした。ありがとうございます。 気合いの入った切腹っぷりと、王子の驚いたような焦ったような表情を見られて満足しです。 なるべく彼のでっけぇ傷になってたらいいなと祈ってしまいます。 END5 どのルートでもエドナの味方であり、プレイヤーの精神安定剤でもあったギルハッカ君。 END3でも彼と結ばれる展開がありますが、このエンドではよりはっきりと「幼なじみ」や「家族」という関係性を踏み越えた印象がありました。 それはやはり、彼の「俺のエドナ」という台詞の力が大きかったように思います。 彼の隣にいればエドナは穏やかで幸せに暮らせるのだろうなと確信が持てる存在です。 END6 先の展開がもっとも気になる終わり方でした! 子どもが無事に生まれるのか、生まれた後にエドナが幸せに暮らせるのか――そのすべてがプレイヤーの想像に委ねられている分、あれこれ考えてしまいます。 お妃様が体が弱いと語られていたので、万が一のことが起こった場合、エドナの子どもが思わぬキーパーソンになるのでは……という不穏な予感もあり、想像を巡らせるのが面白いエンドです。 END1 まさに御伽話らしい、美しい締めくくりのエンディングでした。 まさか結婚するとは思っておらず、いい意味で驚かされました。 様々なエンドでの王子を見てきたゆえに、その彼がこの結末を選んだという意味を考えると趣深いですね…。 エンディングのムービーも曲が非常に作品と合っており、最後まで聴き入りました! @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました。どのエンドもその選択に至るまでの積み重ねが丁寧で、それぞれのルートに納得感と余韻があり、どれも大切にしたくなる物語でした。

    レビューページを表示

  • クリムゾンレッドの死神 -KILLER INSTINCT-
    クリムゾンレッドの死神 -KILLER INSTINCT-
    作品の雰囲気にバチッとハマる、最高にカッコいいタイトルBGMに迎えられてスタートすると、 前作同様ダイナーのBGMが鳴り響き、「これこれ~!」と開幕からテンションMAXで物語に入り込みました。 他の豹牙様の作品にも通じるものですが、 内容は濃密かつクール。それでいて、一文あたりの文字数が短めでテンポが良く、読みやすさが抜群。 一度読み始めるとあっという間に読み進めてしまいまいました。 @ネタバレ開始 前作で無事ハッピーエンドを迎えたレオとキャロル。 しかし、うすうす感じていたとおり、そう簡単に平和が訪れるはずもなく……。 サラマンダとつながりのあった麻薬カルテルに狙われるという展開に、冒頭からハラハラ。 序盤から丁寧に伏線が張られており、巧妙なミスリードも挟みつつ、最終的にはキッチリと事件が解決し、物語が見事に完結するという安心と信頼の構成力! 本当におもしろかったです。 冒頭を読んでいる時、ハーヴィおじさんが巻き込まれないかと心配していましたが、 最後まで無事でよかったです(笑)。 ◆ ヴィンスとマルセル 今作から登場したふたり、どちらも好きになりました。 初登場時は「処刑人=ヴィンス?」と一瞬警戒してしまいましたが、 伯父さんとキャロルがしっかり警戒していてくれていたので、 安心しながら物語を読み進めることができたのがとてもよかったです。 丁寧に挟み込まれる伏線やさりげないきっかけを拾いながら読んでいくと、 これはヴィンスが処刑人という単純な話じゃないぞ、と続きがどんどん気になり、夢中で読み進めてしまいました。 マルセルはヴィンスを残して逝ってしまいましたが、 最後に一矢報いる姿はものすごくカッコよくて……。 切なさと同時に、ヴィンスが前を向いて歩んでいけるような、あたたかな希望も感じられる結末でした。 ◆ ハーヴィーさん 前作から好きなキャラでしたが、今作でさらに大好きになりました! キャロルだけでなく、レオのことまで気にかけてくれていて、 彼らを見守る優しい視線が本当に素敵でした。 パンを頬張りながらクラブハウスサンドを恋しく思うレオのシーンがいいな~と思っていたので、 ハーヴィーさんがおごってくれるシーンがでてきたのが嬉しかったです。 ◆ ロキ 少しだけ出てきたロキが、いい人になったわけではなく、けれど彼なりの筋を通していて、すっごく良かったです! そしてそれに対するレオの「この借りは一発ぶんなぐって返してやるよ」 もう、このセリフ! 超イカす! 痺れました。こういうちょっとしたセリフ回しが最高にかっこいい! ◆ レオナルド 冒頭から不穏な空気の中、彼の登場とカワイイパンケーキの流れが緊張を一気に和らげてくれて、絶妙な緩急で心をつかまれました。 しっかり日常を謳歌し、キャロルとデートするシーンがあるのも、続編らしくてとても嬉しかったです。 レオって年齢よりも大人っぽく感じることが多いのですが、 キャロルが落ち着いた女性なので、彼の年下感がいい感じに強調されて、そこがたまらなく好きです。 レオは戦闘時のかっこよさがあるので、こういった日常部分でのかわいらしさがギャップになってよりその両面が魅力的に感じられます。 キャロルあいてだからこそ見られるんだろうなという一面が多くて、本当に素敵なカップルだなと感じます。 レオとマルセルの最終決戦のシーん。 逆光の中、髪をほどくレオのスチルと、 「今日は、最高な一日だ~」というセリフが、もう……めーちゃくちゃカッコよかったです!!! 鳴り響く最終戦のBGMと相まって、まるで洋画のような迫力のある戦闘シーンに、テンションぶち上がりでした! ◆キャロル 本当に賢くて、度胸があって、愛情深い最高のイイ女で、大好きです! レオと添い遂げるなら、彼女のような度量と愛がないと務まらない。 彼女こそが、レオの相手にふさわしい存在だと思います。 前作に引き続き、今作でも大好きなヒロインでした。 シリーズ通して1番好きなキャラクターです。 今作ではキャロル以外、ほとんどの登場人物が理由はあれど何らかの犯罪に関わっています。 レオもまた、戦闘狂であるという本質をずっと抱え続けている。 でも、舞台となるマグゼラがそういう土地であること、 キャロルがすべてを受け入れ、それでもなおレオと共に歩むことを望み、 「地獄に一緒に落ちる覚悟」を持っていること。 そうした全ての要素がガッチリと噛み合っていて、 読者である私も、彼らの過去と現在、そして未来までも愛せるような物語になっていました。 彼らの持つ罪ごとそこにあることを肯定してくれるような世界観が、この作品ならではの味わいになっている気がします。 @ネタバレ終了 前作に引き続き素晴らしい作品をありがとうございました。もう一作ある短編もプレイさせていただきます…!

    レビューページを表示

  • とりもどせ!愛!!婚約者は眼鏡男子
    とりもどせ!愛!!婚約者は眼鏡男子
    ◆UI ゲーム起動直後からタイトル画面のキラキラした動くエフェクトが可愛くて、「わ〜っ!」とテンションが上がりました! そして、ちょっとしたボタンや、おまけ画面のウェディング風のデザインなど、 どこを取っても本当に可愛らしくて、見ているだけで目が幸せになれました。 選択肢を選んだ時の音やエフェクトがキャラクターごとに細かく分けられているのも印象的で、視覚的にも聴覚的にも楽しく、こだわりを感じました! OPムービーも洗練されていてめちゃめちゃ素敵でした。 ◆システム 周回前提の作品ですがその点にしっかり配慮されていて、快適に遊べる工夫が凝らされているのも嬉しいポイントでした。 私はノーヒントで挑戦したかったので、最初はヒントを見ずに進めましたが、後からヒントテキストも気になってしまい、結局最後に読みにいってしまいました笑 難易度もちょうど良く、シナリオだけでなくゲーム性の部分も面白かったです! @ネタバレ開始 ◆本編 軽快なノリとテンポの良い会話劇が魅力で、気づけば一気に読み進めてしまいました。 最初は「ヒロインの年齢=攻略対象の年齢?」と思いながら選択肢を選んでいたのですが、 実際にはさまざまな年齢差の関係が描かれていて、それがとても面白かったです! この作品を最初に知ったのは紹介動画だったのですが、ポップで可愛い雰囲気に惹かれて見ていたら、 突如登場した祠のシーンに「ほ、祠!?」と度肝を抜かれ、一気に惹き込まれました。 物語の導入から祠の存在、そして記憶喪失と呪われた猫ちゃん ——キャラクターや状況の説明がムダなく進んでいくのが鮮やかで、惚れ惚れしてしまいました。 祠が壊れる原因も旦那様本人ではなく、周囲の人間だったというのもキャラの印象を悪くしない絶妙な設定だと感じました。 そして猫ちゃんにされた旦那様の、まさかの眼鏡姿! 物語的にも眼鏡が重要なモチーフになっていて納得ですが、このコンセプトの徹底ぶりが素晴らしく、デフォルメされた眼鏡猫ちゃん姿が本当に可愛かったです……! 私は何度かバッドエンドも経験しつつ、最初にハッピーエンドに辿り着いたのが羽柴先生ルートだったのですが、ハッピーなBGMチョイスがまた最高で、思わず涙腺が緩みました……。 エンドロールも圧巻で、全キャラごとに曲も動画も変化する豪華仕様! これまでの歩みを振り返るイラストの数々に心を打たれました。短編作品で、 これだけの物語の深みとキャラクターの過去を感じさせる演出ができるのは、本当に凄い……! さらに、全キャラに前の女の影があるという珍しい設定ですが、その処理がめちゃめちゃお上手なのが印象的でした。 読み手にモヤモヤを残さないよう配慮されていて、むしろリアリティのある人物描写として効果的に働いていたと感じました。 「シナリオが……うまい……」と唸るしかありません。 ◆各キャラクター ・遊馬さん この性格で眼鏡! というのがとっても良きでした! 営業マンなのが納得の明るさと人当たりの良さ……。 友達付き合いも多そうだけど、「この奥さんなら安心!」とエンドロール後のエピローグを見て思いました笑 「今のこの子の方が嫌いじゃないし」がまさに読み手の私も思ったのと同じで、シナリオの説得力の高さに感心しました。 後輩に懐かれているシーンも、主人公の性格がよく見えてとても好きな描写でした。 カップリングとしては一推しのふたりです! ・鳴海さん すっごくきちっとした方ですが、弟くんの存在の影響か、堅苦しすぎず柔らかさもあって、そこが魅力的でした! タイトル画面での白無垢と紋付き袴のお衣装がとても似合っていて、見ているだけでうっとり。 エピローグでお嫁さんを迎えに来たときの毅然とした姿と、その後の動転っぷりのギャップが可愛すぎて、花丸満点でした。 「私だけの秘密を抱えてエンド」は、3人の中でも一番インパクトが強かったです……! 弟君との関係もすごくて…すごい……。 ・羽柴先生 前の奥さんがいて、その人もいい方で、というのは扱いが難しいと思うのですが、 シナリオでの取り扱いがとても上手で、読んでいてまったくモヤモヤを感じることがなく、自然に受け入れることができました。 先生とヒロインとの年齢差ははっきりありますが、ヒロイン自身の年齢が比較的高めなのも新鮮で、とても良かったです。 エンドロールのイラストがとっても好きで、8年前のイラストの先生の笑顔があまりにも素敵で、 見ていると泣きそうになってしまいます……。 ふたりの間に流れる穏やかな空気感もすごく心地よくて、読後感がとても温かかったです。 ◆おまけ 本編以外のコンテンツも本当に豪華で驚きました! まず、クリアごとに変わるタイトルイラストとBGM。 結婚式の写真風なのがとっても華やかで、見るたびにウキウキしました。 さらに、おまけ画面の2人の写真や、キャラごとに用意されたあとがきまで……作りこまれていて大満足でした! ロゴの変化など細かいところまで小ネタが効いてるのも素晴らしいです。 @ネタバレ終了 短編でありながら、さまざまな要素がぎゅっと凝縮されていて、プレイ時間の短さが信じられないほどの満足感を味わえる作品でした。 気軽に遊べるボリューム感ながら、物語としての完成度が高く、キャラクターへの愛着も自然と芽生える、とても素敵な一作でした! プレイさせていただき、ありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 北限のアルバ~冬の章~
    北限のアルバ~冬の章~
    北限のアルバシリーズとして最後に公開された本作、非常に心に残ったお話だったのでコメントしにまいりました! 季節は冬。美瑛から受ける印象も雰囲気も、他の季節とはだいぶ異なっており、清廉で静謐な冬景色が広がっています。 その風景の中に溶け込むような透明感をたたえた少年、透也君が今作のお相手です。 冬というと、ともすれば冷たいイメージになりがちですが、ヒイラギ(でしょうか?)の赤や松かさの柔らかな茶色などを取り入れたUIは、今作でも暖かくかわいらしく、癒やされるデザインでした。 @ネタバレ開始 印象的だったのは、他のシーズンよりも主人公である真ちゃんにしっかりとフォーカスが当たっていたこと。 ここまで他のシーズンをプレイしてきただけに、彼女の過去が語られたときには「おおっ」と驚かされました。 他の季節でもこれと同じことがあって美瑛にやってきたのかなあ……と、これまでのシリーズを思い返してしまいました。 これまで毎度忙しそうに働いていた真ちゃんがこのシーズンでは少しだけ暇になり、だからこそ自分の内面と向き合う時間が増えたのも、このような冬の物語になった一因なのかもしれません。 真ちゃんのことがより深く描かれていたぶん、彼女と相手キャラクターとの距離感も他シーズンとは異なって感じられました。 透也君が抱えているものを知っていく、という側面もあるにはあるのですが、その答えが真ちゃんの中にもあり、彼女の抱える問題を中心に物語が進んでいく構成で、主人公として一層際立っていたように思います。 その一方で透也君は、主人公を助けてくれる立ち位置におり、年齢にそぐわない落ち着きを見せる超然とした神秘的な存在として描かれており、非常に印象に残りました。 とはいえ、友人と話している場面などで時折見せる年相応の少年らしい一面もあり、そのギャップもとても魅力的でした。 その上で、彼女の過去に関わる部分に少しだけファンタジー要素が登場したのも驚きでした。他のシーズンではリアルな日常感が強かっただけに、「ここで!?」と驚きつつも、透也君の神秘性と相まって違和感なく物語に入り込むことができました。 印象的だったセリフ「赤の他人」という言葉も、透也君がどんな気持ちで言っていたのか……と考えると胸が締めつけられるようです。少年らしからぬ大人びた印象も、あの真相を知った後では、どこか切なく、そして不思議な気持ちにさせられました。 また、今回も北海道ならではの要素がちりばめられていて楽しかったです。 札幌大球という品種を知らなかったので思わず調べてしまいましたし、初めのほうで少しだけ話題に出ていたダイヤモンドダストがクライマックスで登場するという構成には唸りました。スチルも本当に美しかったです。 ちなみに、今作に登場する料理の中ではガレットがとてもおいしそうで、思わずそば粉を買いに走りたくなりました! 物語の終盤、「春が近づいてきたってことなのかな」という真ちゃんのセリフがありましたが、それは単に季節としての春だけでなく、真ちゃんにとっての心の春も示唆しているようで、とても温かい余韻を残しました。 前世で姉弟だったという真相には、恋愛としてどう着地するのかとドキドキしながら読んでいましたが、切なさと納得感のある結末がとても心に残りました。「あなたが好きでした」と過去形で終わるラストには、美しさと共に胸を打たれます。非常〜に好きなエンドだった故、余韻がすごかったです。 一方で、もう一つのエンディングでは、また違った形で恋愛的な希望が見えるのもよく、どちらの結末も大切にしたくなります。 @ネタバレ終了 シリーズの最後を飾るにふさわしい、静かで美しく、どこか切なさも感じさせる一作でした。素敵な物語をありがとうございました。

    レビューページを表示

  • やっぱ叩けば直るだろ?
    やっぱ叩けば直るだろ?
    ビジュアルに惹かれ、やっぱ叩けば直るだろ? をプレイさせていただきました! @ネタバレ開始 個性的な二人の軽快なやり取りが面白く、 オチにあたる「……やっと壊れたか」のセリフの意図にドキドキしましたが、 その後に明かされた事実になるほど! と膝を打ちました。 ダメージゲージのアイコンが帽子であったことにもしっかり意味があったとは…! 作者様の手のひらで踊らされた感覚がとても気持ち良かったです。 おまけでは簡易プロフィールが載っていましたが、 ジッカーのびしっと小気味よい叩きっぷりが コメディアンのツッコミであったから、というのも非常に納得感がありました。 ツッコミも左手で行っていましたもんね、細かい…! クールなジッカーと明るいBKのデコボココンビ感がとても可愛らしく、 また最後の「ロボはええぞ……」「……もうええわっ!」 のやりとりも仲が良かったんだな~! というのが感じられてとても好きです。 @ネタバレ終了 フォントやフォントカラー、イラストなどを含めたビジュアルに非常にまとまりがあり、 画面の雰囲気もすてきでした! グレーを基調としたなかに鮮やかなイエローが映えてとてもきれいでした。 ステキなゲームをプレイさせていただきありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 北限のアルバ~夏の章~
    北限のアルバ~夏の章~
    4つの季節に分かれた章ごとに公開されているこちらの作品、どこからプレイしてもいい、とのことでしたので外見が一番好みだった日向くんからプレイさせていただきました! ・UIなど 手書きの背景やメッセージウィンドウにあたたかみと可愛さがあって作品にマッチしていて大変よかったです! 各章ごとに違っているのも見比べるのが楽しく、本作の楽しみのひとつでした! 真ちゃんとともに美瑛町を訪れているようで、この街を知っていくのが非常に楽しかったです。 梅雨がないなどの北海道知識に、真ちゃんと一緒におどろきながら関心し、 なげるなどの方言は自分の暮らしていた地域でも使っていたな〜などと頷きつつ拝読しました。 @ネタバレ開始 ・ごはんの描写 本作の魅力のひとつであるご飯の描写。 かわいいイラストと、それをおいしそうに食べるキャラクターの反応が合体して、食いしん坊な私の胃袋にダイレクトアタックが入りまくりました。 真ちゃんの作ってくれる料理のラインナップも、レストランにいただけあっておしゃれで本格的で、出てくるたびに食べたい〜!! と唾液が溢れてしかたがありませんでした! 夏にぴったりのさっぱりしたメニューが多く、 ご当地食材を使っているだけでなく季節感を感じられるのも素敵でした! また、本作の日向くんは体を使うお仕事なのもあり、 いっぱい食べてくれたみたいな描写が入るのもうれしかったです。 いっぱいおいしく食べているという描写は、なんだかすっきりするというか満足感があります笑 そして酪農家がメインのシナリオならミルク料理はやっぱり見たい! と思っていたところにラストにミルクシェイクがでてきたので、期待通りの展開にやったー!と大変嬉しくなりました。 今作ではバジルのソーダのイラストがお気に入りです! とってもきれいでした! ・キャラクター 主人公の真ちゃん。真面目で頑張り屋さんで初手から好印象で、可愛くて大好きでした! このノビタキの木彫りを受け取って嬉しそうな真ちゃんがかわいくて、これは日向くんもイチコロですよ…! そしてお相手の日向さん。 ぶっきらぼうで男くさそうな第一印象ですが、 顔見知りくらいの距離感の真ちゃんに声をかけてくれるところなど、はじめから面倒見がとってもいい! 落ち着いていますが表現が不器用なだけで、内面はクールというイメージではなく、大変好青年でした。 細かい描写で配慮のできる子だとすぐにわかり、真ちゃんと仲良くなっていく過程をニコニコと見守れました。 二人が仲良くなっていく過程はとても優しく自然で、 リアリティがあるというか、居そう!感のある大変可愛らしいカップルでした。 お付き合いをしてからも上手くやっていくんだろうなあ…。 日向君の告白セリフにもある通り、自然体でいられるというのがしっくりきます。 日向くんは生き方が、地元である美暎町に根付いてる感じがしましたが、それが彼の悩みにもなっていて、どことなく真ちゃんと対になっている印象を受けました。 ずっと地元にいて堅実に生きてきた日向くんと、自分の夢を叶えるために頑張ってきた真ちゃん。 この章では深く踏み込んでいませんが 真ちゃんも迷って美暎に来たのかなと読んでいて思ったので、 互いに立場が違っているゆえに自分では欠点だと思っている部分が相手の視点からは部分がまぶしくみえているんだろうなあと…。 なので、庭での告白シーンで眩しく見えてるんだ、というセリフがありとてもしっくりきました。 日向くんは結構早い段階から真ちゃんに惹かれている様子があったのに、なかなか踏み出せなかったのは、自分に自信がないからというのもあるのかなと。 門外漢の立場から見ると彼はとても立派に見えますが、彼自身が思い悩むのもとてもわかる気がして…その辺りの将来に対する葛藤の描写も非常にお上手で、共感しながら読み進めることができました。 そしていざ告白か!? という告白キャンセルのときの 付き合ってみる?っていうセリフがまた、こう、ぽい!! というか、年頃感があってめちゃくちゃ好きです。 改めて言い直すシーンでビシッと決めてくれたのも合わせて等身大の男の子を感じて大変興奮しました!! @ネタバレ終了 恋愛だけでなく、土地の描写やキャラクターたちの葛藤、美味しいご飯の描写などで「生きる」ことを感じさせてくれる大変あたたかで優しく癒される作品でした。 素敵な作品をプレイさせていただきありがとうございました!

    レビューページを表示

  • オプライド
    オプライド
    キャラクター、世界観ともに非常に魅力的な物語でした! 物語は何も知らない主人公の目線を通して始まり、 彼女と一緒にここはどこだろう、自分はいったい何なのかと疑問を抱き 世界を知っていく。 非常に入りこみやすい導入で、あっという間に物語に引きずり込まれました。 @ネタバレ開始 核となるオプライド技術というものを中心にドラマが展開されるわけですが、 説明自体もわかりやすく、混乱する個所が一切なくするりと読むことができました。 複雑な設定を分かりやすく読み手に伝える、それもセリフのみでそれを行っていらっしゃるので、冒頭だけでも高い文章力をお持ちで丁寧に文章を紡がれているのが伝わってきました。 SF作品ですが、世界観が非常に練り込まれており、 それらが一体なんであるかを知っていく過程そのものが興味深く面白かったです。 また、深い世界観に負けることがない、個性的なキャラクター達も魅力的でした。 メインキャラクターが3人とも容姿、話し方、性格のいずれも個性的であり、 あっという間に好きになってしまいました。 乙女ゲームではありますが、あまり甘すぎない塩梅が世界観にマッチしていて、 そこもとても好きだったポイントです。 ・ジータ まずキービジュアルを拝見して見た目が好きだな~と思ったのがジータさんです。 お声もかわいくかっこよく、最初こそ率直な言い方をするところからキツいタイプなのかと思いきや、男前で、とっても優しい……!! 後半に入ってからは、より優しい面が際立っていて声色の優しさに感動しました。 過酷な人生を歩み、死を望みながらも背筋を伸ばして立っているような、 弱い部分、逃げたいと思っていたことが描写されているからこそ強さを感じるような人だと感じました。 ジータエンドでは同じオプライドチルドレンとして、アルファを気遣う様子が先輩のようで素敵な関係だなと思ったのですが、別のルートで「先輩」がキーワードになるとは……。 お話の最後に部屋の外からルイスの嘆き声が聞こえてくるところが、可愛らしくてとても好きです。 ジータさんに限らずですが、大事大事になど細かいセリフ回しの癖に個性が現れているのがとてもよかったです! ・ルイス 見た目は男臭い印象のある彼ですが、柔らかく丁寧で、茶目っ気のある性格をしていて終始抱いた印象は可愛らしい!でした。 お声は外見に合わせて低く落ち着いていますが、その声で情けないことを言うのがまた大変良いギャップでした。 ジータとのやり取りが軽快で面白く、重くシリアスな世界観の清涼剤となりました。 そして、こういってはあれですが、苦悩するのが非常に似合ってしまうという……。 物語が終わった後もいろいろと苦悩するのだろうなと思いますが、したたかに生きてほしいです。 ~ですがという話方も彼らしく感じてとても好きでした! ・ウラノ ルートを見てしまうと、もう彼のもとに彼女を返してあげないと……! という気持ちに支配されてしまいます。 冒頭、彼女が兄に攫われたと気づきいたとき、あきらめたようなさらりとした反応をしていた彼はどんな気持ちだったのでしょう。 物語が、あのシーンで終わるのも、その後の想像を掻き立てられて非常に美しいエンドだったと思います。 また本編で日常的な部分が語られなかった分く、クリア後のおまけで捕捉されているのが大変福利厚生が整っていて助かりました。ありがとうございます……!! @ネタバレ終了 設定の作りこみやそのシビアさから、メインキャラクターたちのここまでの歩みの過酷さが想像でき、まさに世界観がキャラクター、そして物語を作っている作品でした。 様々な要素を組み上げて作り上げるゲームという媒体で、イラストや文章はもちろんの事、親切で世界観にぴったりなUI、フルボイスでセリフを楽しめる素敵なキャストの皆様、適切な音楽選びなど、どれもが高水準の素晴らしいSF作品をありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 終末、執事と星に歌う
    終末、執事と星に歌う
    背景に流星が流れ主人公二人が抱き合うタイトル画面、 音楽との親和性も相まって非常に美しく、正真正銘の1クリック目からぐっと物語に引きこまれました。 あのどこまでも静謐で、美しく、 冷酷な物理法則が支配する――宇宙にいた時と、同じように。 冒頭で登場し、くり返し出てくるこの一文があまりに美しく 背景で流れるクラシックBGMがあまりによく似合っていて確信しました。名作です。 @ネタバレ開始 終末、とタイトルにあるように回想を中心とした、 どちらかといえば日常に近いシーンから語られる物語の中に、ずっと漂うふたりぼっちの寂寥感が最高でした。 また、宇宙物のSF作品で覚えるうっすらとした怖さのようなものを、この作品にも感じその感覚もとても好きでした。 SF作品ですが、情報の開示のされ方が自然だったため、 理解と世界観への感情移入のしやすさが抜群です。 主人公のマリちゃんは外見が出てきた瞬間、釣り目がちの顔と髪型が可愛い! と思ったのですが、落ち着いていながらも少女らしい危うさもあり、性格も大変好ましく物語の語り部として大変良かったです。 視点がリート側にうつっても素直に彼女を守りたいと思いながら読むことができて、 非情に感情移入がしやすかったです。 リートの造形もまた、人間らしさを感じる部分とアンドロイドである点のバランスが絶妙でした。 あまりに人間そのもの、という造詣だと場合によっては違和感を覚えることもあるのですが、 こういった性格、キャラ造形になっているのが自然と受け入れられて物語を読み進めるうえでのノイズを一切感じませんでした。 今作の場合、有個性型アンドロイドの設定がしっかりと語られているのもあり、 そのあたりも自然さに寄与しているのではと思いました。 世界観がしっかりしていることで、キャラクターも自然に受けとめられる形になっているのが 作品としての総合力の高さを感じます。 また、演出も素晴らしいものが多かったです。 冒頭、地球の背景に半透明でキャラクターを表示させたガラスの表現が非常に美しく、 glinkを鍵盤に見立てる演出も素敵でした。 重要な選択肢の表示のさせ方も雰囲気と緊迫感があり、非常に場面にマッチしていました。 中盤からは過去回想が終わり、《今》に物語の時間軸が移ってきますが、 そこからの急展開も非常に引き込まれます。 緊迫感があり、どうなってしまうのかと大変はらはらし、マリちゃんをかたずをのんで見守りました。 そこからリート側の視点に移りますが、マリとどう関わってきたのかが丁寧に描かれており、 現在ふたりが互いを大事にしていることにぐっと説得力が生まれました。 もしかしたらリート自身がまだそれを表現する言葉を持たないせいかもしれませんが、 彼女をどう思っているかを直接的な言葉で表現していないところに奥ゆかしさがあり、 "そう笑うお嬢様を、木漏れ日がきらきらと照らしている" という表現に、すべてが詰まっているような気がしました。 マリから見た過去、リートから見た過去をふまえてからのエンド2。 二人の主人公と、互いを想う心情を十分に知った後に訪れる別離が非常に心に迫るものがあります。 しかし、しっかりと二人を知った後だと、この結末もありえるかもしれないと思わせる説得力があり 非情にかなしく、美しく映り、別離のエンドも非常に好きです。 (こちらの選択肢、選んだ直後にノイズのような演出が入るのが 全てのエンドを見た後だとどういうことかわかり、おおっとなりました) 最後にトゥルーエンド。 リートが記憶に執着しているシーンに、今までになく彼の個を感じました。 嘘をつかない、という約束が物語上での縛りになり、 最後の最後にギミックとして用いられ、結末が結ばれる。 弟との会話、ピアノ、ピアス、髪の長さに至るまですべてが必要なパーツで構成され、 物語にかみ合った演出と美しい文章で紡がれる素晴らしい物語でした。 無駄をそぎ落とした読みやすさと美しさがが両立した文章で、終始読み進めやすかったです。 エンディング曲が流れた際は、余韻に浸って呆けてしまいまいた。 再開することができた二人が、幸せになれますようにと祈りを込めて。 @ネタバレ終了 素晴らしい作品をありがとうございました。

    レビューページを表示

  • 英国紳士の手懐け方
    英国紳士の手懐け方
    貴族キャラが大好きなので、制作されていると知ってからプレイを楽しみにしておりました。 作者様は以前から英国文学がお好きだと目にしておりましたが、 もう、期待通り世界観がばっちりの文学的で素晴らしい短編でした! 英国貴族らしい男性キャラには気品と毒と高慢さを求めてしまうのですが、そう、これこれ!!! という具合で、最高でした……。 ヒロインの恋愛相手というポジションでは、この尊大さにはなかなか出会えないので、 プレイしながらめちゃくちゃ嬉しくなってしまいました。 ただ嫌な奴というわけではなく生き方あり方なんだろうと思わせるバランスで、 プレイを終えるころにはばっちりグウィンのことが愛しくなってしまいました。大好きです! 主人公のフローレンスも、しっかりした考え方を持ったヒロインで、 自分のイメージする19世紀の女性像から逸脱しすぎない塩梅なのが大変良かったです。 ヒロインの考え方があまりに現代的すぎると、それはそれで違和感を感じてしまうこともあるのですが、 この作品ではそういったこともなく、かつ現代に生きる自分が読んでも違和感なく受け入れられるバランスで読んでいてめちゃくちゃ気持ちよかったです。 ハムレットの物語を聞き終えた後、物語のすばらしさに引き込まれ今まで反発していた相手に素直になってしまうところが、知識に対する貪欲さを感じられて好きでした。 @ネタバレ開始 最悪の印象からスタートし、相手の別の一面を見て惹かれるものを感じ、少し距離をおいて、和解。 流れは王道ですが、その王道さがたまらなく良かったです。 序盤の喧嘩の内容自体もよく、音楽会での喧嘩というかもめごとはまた一番初めの喧嘩とは雰囲気や二人の心情が変わっているのもよかったです…! そしてそのあとに来る和解は、まさにこの物語のトロの部分というか、 待ってました! の貴族デレのターン! ずっとかわいい! 素直になれないかと思いきや火の玉ストレート! 持って回った言い回しの言葉の中に、直球の言葉が映えてとにかくセリフ回しが好きでした。 ヒロインの悪い部分をあげつらうのも、悪いと思っていないというか、事実確認というか 不思議と悪意を感じないんですよね……。 いろいろ見えている外側から見ると盛大なデレにしか見えない。 告白シーン最後のほうにある、 さあ、この哀れな男をどうしてやろうか。 という一文がめちゃくちゃ好きで、そのあとのヒロインの心情も余すことなく好きです。 文章の雰囲気、セリフ、キャラクターすべて大好きな告白シーンです。 素敵な結末をありがとうございました! @ネタバレ終了 また立ち絵はイラストレーター様が描かれているとのことですが、容姿が美しくかっこよく、 グウィンの持つ色素が薄く冷たい印象なのもはまっていてこちらも素晴らしいです。 やや重たげでけだるげな目元と伸びた左手指先の表現がセクシーで大好きです。 機会がありましたらまた貴族男性のキャラクターを描写していただきたい…! と思うくらい英国物語とキャラクターがはまった大変すばらしい作品でした。 素敵な恋愛短編物語をありがとうございました!

    レビューページを表示

  • 月明かりと夜風のワルツ
    月明かりと夜風のワルツ
    遅ればせながら、プレイさせていただきました…! 評判を目にしておりましたが、あまりにも行きとどいたUIやシステムに感動して、 本編開始前にややしばらくオプションやヘルプを触りつづけてしまいました。 触っていて心地よいと感じるのは、それだけで素晴らしいプレイ体験につながるのだなと、本編開始前から大変感動させていただきました。 またUI、背景を含め全体の色合いや、雰囲気の統一感も素晴らしく、 キャラクターのイラストもちょこちょこ動くのがとてもかわいらしくて、画面を見ているだけで楽しかったです! 本編も優しくかわいらしい雰囲気でありつつも、世界観や魔術をとりまく事情を中心とした、筋の通ったしっかりしたファンタジー物語でした。 戦ったりするばかりでない、日常に即した魔法物語というのが好きなので、そういった面が堪能できてうれしかったです。 キャラクターたちも育ちなどを踏まえた性格をしているなと感じられ、 この物語の世界に息づいているんだと説得力がありました。 @ネタバレ開始 レナート君は使用人としての距離感をわきまえており、 それを踏まえたうえで、一歩踏み出すのは大変そうに思えましたが、 ふたりの関係がとても自然に変化して、読んでいるこちらもほっとしてほんわかした気持ちになりました。 恋人成立後も、レナート君が最初の印象どおり感じで思い悩んでいて、せいいっぱいのスケベ願望が可愛らしく、 それに対してリシュアちゃんが「無理して変えようとしなくていいよ」 と返事したも、優しくてこの二人らしくて、とても好きなやり取りでした。 @ネタバレ終了 可愛くて、暖かな気持ちになれる素敵な作品をありがとうございました。 個人的にパン屋の兄妹の配色がとても好みで、お兄さんのお顔がとっても好みでした!

    レビューページを表示