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宮人@虚無のレビューコレクション

  • 鬼桜
    鬼桜
    作品プレイさせていただきました。 @ネタバレ開始 序盤にある戦闘シーンでキャラクターたちの一動作に一枚あるレベルのスチルの連続に驚き、一気に引き込まれていきました。その後も次々登場するキャラクターたちそれぞれに立ち絵がちゃんとあったり、ちょっとした場面でもスチルがあったりと、プレイ中ずっとグラフィック関係に圧倒されていたような気がします。テキスト等で一切語ることなく、絵だけで表現される関係性などがふんだんに盛り込まれているのも特徴でした。楽屋裏で実際の枚数が明らかになった時、思わず吹き出しました。制作お疲れさまでした。 戦闘がちょこちょこ出てきたり、悲しい歴史があったり、暗躍する人がいたりとしますが、自分は日常の時間の積み重ねが好きでした。今の自分達から見たら当たり前のようにある優しさに囲まれた時間。筍を煮るだけで騒いだり、花見をワイワイしたり、いい時間を過ごせたんだと。白兎が自らの思いを言葉にできるようになり、焔緋も生き続けたことで未来を見れるようになったのは胸が暖かくなりました。 白兎のビジュアルが大変好みで、作中でいくつもの表情を魅せてくれるおかげでより愛着がわきました。白兎は今は可愛いと思えるけれど、絶対可愛さが抜ける数年後には美人になっているという確信がありましたが、一部のエンディングで想像どおり美人に成長した姿見れて良かったです。 メインキャラ以外でも好きなキャラが2人いて、ばば様と藤姉さんです。 ばば様は登場人物の中でも年上ということで、いろいろなものを見て、経験して歳を重ねてきたということが動作の節々に感じられるところが好きです。相手の考えを察したり、どんなときでも冷静に周りを見た上で判断を下したり、自分の意見はあれどちゃんと相手の意思を認めた上で話しをしたり、いい場面がいっぱいです。 藤姉さんは最初に登場していた時から好きだったので、後半で再登場して場を明るく引っ張ってくれるところで更に好きになりました。天真爛漫でありつつも、年上である部分を感じさせてくれます。ラストでいい護衛君が見つかってくれたのも良かったですし、藤姉さんだったら橡をいい方向に引っ張ってくれる信頼があるので、橡にとっても良かったんじゃないかと。 他のキャラクターたちも、信念を持っていたり、大切なものを抱えていたり、それぞれの人生を歩んでいる感じが良かったです。柑子あたりは顕著ですね。鬼相手にしか抜かないと決めた刀という、信念、魂が物語に関わるアイテムとなるのは当然の話でした。 @ネタバレ終了 力が入りまくった作品ありがとうございました。最初から最後まで面白かったです!

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  • ウソからはじまる物語
    ウソからはじまる物語
    作品プレイさせていただきました。 展開的に目立ったフックになるような部分が見当たらないのに、いつの間にか物語にスッと入り込めるのは不思議です。文章のリズムがいいのか、登場人物の体験や思考に共感できるところがあるからなのか。物語に入り込めた後は緩やかな起伏に身を任せ、最後にはホット一息ついたような気持ちになれました。 @ネタバレ開始 1つの物語をクリアした後、タイトル画面が舞台の市民公園だったことに気がつき、なんてことはない要素なのに「いいな」と思わせてくれるところがこの作品が魅力的であった証拠。似たようなところでクリア後にタイトルの一つ『真っ赤な嘘』がなんで真っ赤と一瞬首を傾げたあと、ウソをついて赤くなった顔のことを言っているんじゃないかと気がつきほっこりしました。 物語の場面裏を別の物語で見ることが出来たり、ただの芸能人という認識だった人が別の物語では悩みを持った1人の人間であったり、物語がほんの少し重なっていることで短編集ではあれど広がりを感じさせる部分が生まれていたように思えます。3編の主人公たちの年齢が少し離れているのも現在の環境や目線の違いに繋がっていていいですね。3編それぞれが、それぞれの捉え方で未来に向かう姿が素敵でした。 私は上から順にプレイしたのですが、別の順番でプレイしていたら一体どう感じたのかと想像して、結局想像しきれず歯噛みします。やはり自由に自分の記憶をコントロール出来る技術が欲しい……。 @ネタバレ終了 思わず砂糖を吐くような甘さではなく、飴をなめているような舌の上で転がすような優しい甘み。冬に暖かな飲み物を飲んだような安心できる暖かさ。そんなものに例えられるような物語をありがとうございました。

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  • 日陰の日葵 - sun in the shade
    日陰の日葵 - sun in the shade
    トップの絵に惹かれプレイさせていただきました。ゆったりとした時間の流れを感じ取れるような、とても雰囲気がいい作品。BGMがピアノでまとまっている点も雰囲気が良さを加速させていました。 絵に惹かれてプレイし始めたこともあり、出てくる一枚一枚の絵がとても魅力的でした。特に光の表現が美しく、夕暮れの光を閉じ込めるような、溢れるような、そんな絵が好きです。 @ネタバレ開始 こういった落ち着いた雰囲気をまとった派手な展開のない作品はどうしても序盤が退屈になりがちで脱落してしまうことが多いというのが個人の体感です。しかし、こちらの作品では主人公がテストで姑息に無駄に努力しているカンニングという導入のおかげで、ツッコミを入れながらプレイできることでキャッチーな始まり方になっていたのが良かったと思います。導入でプレイする気持ちを盛り上げてくれたおかげで、その後の展開もすんなり読み込むことが出来ました。 @ネタバレ終了 私の趣味の話ですが、登場人物の制服が膝下までのロングだったのが最高でした! スカートが長めでも、胴長に見えないような絵が素敵です! キレイな作品をありがとうございました。

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  • 殺すしか選択肢を与えられなかった異世界転生勇者
    殺すしか選択肢を与えられなかった異世界転生勇者
    プレイさせて頂きました。 @ネタバレ開始 よくある異世界転移系かと思いましたが、プレイを進めてみれば選択肢のところでセーブをしようとしたら勝手に進行してしまったことで、この作品がやろうとしていることに気がつきました。ノベルゲームの定番である選択肢を、迷いや葛藤の表現に落とし込んだ物語。なぜわざわざノベルゲームという形式を使ってこの物語が紡がれているのか、その理由がはっきり表現されていてよかったです。 @ネタバレ終了 短いながらも楽しくプレイできました。ありがとうございます。

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  • 僕らのノベルゲーム
    僕らのノベルゲーム
    作品プレイさせていただきました。前半から青臭さのある青春創作ものとして楽しくプレイ出来たのですが、後半の内容が圧倒的に好みでとても好きな作品になりました。思わず共感してしまうシーンが多かったことが、自分の中で良かった点です。 @ネタバレ開始 後半がとても好きなので、後半中心の感想になることをお許しください。 初めての合作、初めてのリーダー、高校生というまだまだ若い年齢、それぞれの作品にかける微妙なモチベーションの違い、そんな環境で物事がすんなりうまくいくわけもなく……。絶対来るだろうと思われ、そして実際に起きてしまった制作が岩礁へと乗り上げてしまう場面。自分が考えていたよりもずっと丁寧に、正面から描かれていました。制作中止に至ってしまったことは合作ということもあり誰にでも責任はあり、登場人物が口にする言葉はどれも一面の正しさをもったものでした。主人公の言い方が悪いのはもちろんなのですが、高校生であり、一人モチベーションが違うこと(何年も頭にある物語を形にする)をプレイしている私は知っているので責める気にはなれないというバランスもお見事でした。 創作に限らず、なにかをするということは失敗や挫折を含んでいるものです。頑張ったから結果がついてくるわけではないというのも当然のことです。それで傷つきやめてしまいたい気持ち、続けたい気持ちの中で板挟みになって苦しんでしまうというのも、やはりよくあることなのだと思います。 創作を投げ出してしまった主人公の気持ちを救った(火をつけた)のが、鬼瓦君が描いたエレナという自らが生み出したキャラクター、今に至るまで創作をし続けていた自分だったという点が最高でした。主人公がエレナの絵を見て、鳥肌が立ち涙が出たように、プレイしていた私も鳥肌が立ち、泣きかけました。私のこの作品での最大瞬間風速はこの場面でした。この後の創作ノートを夜通し修復する流れも含めてめちゃくちゃ良かったです。主人公と似た気持ちになれたというのが圧倒的に強かったです。 終盤の木下と屋上で対峙する場面、そこでも助けてくれるきっかけとなったものが自らが作り出した創作だったしエレナだった。自分を潰すのも創作だったし、助けてくれるのも創作だったというのが、これが創作の物語なんだと一貫して良かったです。 エピローグでさらりと描かれる数年後の話というのも良かったです。タツとの関係は途切れてしまったけれど、高校時代の関係って案外そんなものなところあります。制作云々がなくてもそうなっていた可能性も十分あります。でも、これからまた5人が顔を合わせたらまた何かあるのかもしれない、そんなちょっとした希望をもたせるようないい締め方でした。この言葉を感想で使うのは二度目ですが、やはりこういう部分も「バランスがお見事」でした。 作品を通して少ない絵をどう上手く使うかという部分が考えられているように感じました。上記のエレナの看板イラストや木下に立ち向かう場面はここぞという盛り上がりとして必要でしたし、主人公の頭の中にあったエレナ像が最後にはちゃんと全身が描かれ見えるようになる演出、5人でノベルゲームを作る絵と星空をバックにした絵は今流れている青春の時間と過ぎ去ってしまった時間という2つの意味を持っていること、絵の使い方に思わず唸ってしまいました。それぞれの絵が作品の大切な一部分を構成していました。 細々したところになりますが、作中で指摘された「ノベルゲーム制作中に出てくる絵と文章で同じことを書くとくどい」というような点。この作品ではノートを破るシーンでは言葉でなく音で先に表現されていたり、ビニール袋に入ったノートを見つけたときに文章では出てこないのに表示される美央の立ち絵だったり、作中で言っていることを実践しているからこそ、このノベルゲームを作るというお話に説得力が生まれていたんだと思います。文章があって、絵があって、音があって、それをまとめる演出があってのノベルゲームなんだと! @ネタバレ終了 とても丁寧に作られた、作品のバランスがちょうどいい素敵な作品。ありがとうございました!

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