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あいはらまひろのレビューコレクション

  • 忘れ傘の矜持
    忘れ傘の矜持
    ピーマンや宝箱、そして今回は忘れ傘。 まったく雰囲気の異なる2編(本?)、楽しくプレイさせていただきました。 テンポよく進んでいくなかで、あちこちに笑いもあって、2編ともあっという間に読み終えてしまいました。 いろいろと動きのある演出も楽しかったです。 @ネタバレ開始 2編を通して、モノたちが人間とは異なる考え方をしている点や巫女さんのモノへの一貫した考え方がとても印象に残りました。「モノが困っていたら手を差し伸べるのも人間さ」なんてセリフも、ちゃんとニュン編での行動につながっていきます。 しかし、まさか主人公の特殊な好みがニュンを目覚めさせる伏線になっていたとは。まさか巫女さんはそこまで見越して植え付けたのでしょうか(笑 @ネタバレ終了 次はどんなモノが登場するのかな、なんて続きも想像してしまう、楽しい物語でした。

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  • ラムネ瓶入り夏休み
    ラムネ瓶入り夏休み
    心地よい喉ごしで、あっという間に飲み干してしまうような、それでいてどこか物足りなさが残るような、そんなラムネ瓶入りの夏のお話でした。 絵日記のように語られていく短いエピソードが、いかにも少年らしくそっけなくて、でもそれがいつか大人になって思い出す、夏の思い出になるんだろうなと思いました。 @ネタバレ開始 少年が、おじいさんとお母さんの間にある「なにか」に気づきかけるシーンがとても印象に残りました。わかりそうで、でもよくはわからない。だから語られることもない。 でも、少年はいつまでも少年ではいられない。この当たり前の夏休みもいつかはなくなってしまう。そう思わせるエピソードに感じました。そして、少女との再会の約束や、おじいさんの「ここに居る」という言葉も、その事実を浮き立たせているように感じました。 @ネタバレ終了 いつかは終わってしまう夏。それを懐かしいと思い出す日も来るんだろうな。 読み終えて、そんなことを思いました。 面白かったです。ありがとうございました。

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  • エソラノコト
    エソラノコト
    まるで白昼夢を見ているような、白い夏。 そして夢でも見ているような、不思議な出会い。 淡い色調でまとめられたデザインと、短いエピソードで淡く語られていく、ひと夏の物語でした。 またデザインやBGM、ボタンSEなども、物語のイメージにマッチしていて、とても楽しくプレイできました。 ありがとうございました。

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  • 雨の袂
    雨の袂
    不器用な少年と少女。交わされる会話がとても自然で、彼らなりの精一杯が伝わってくるようです。短編にギュッと詰め込まれた青春の1ページをたっぷりと堪能しました。 とてもいい時間を過ごすことができました。 @ネタバレ開始 思春期らしい少し鬱屈とした少年の語りも、過度にネガティブになることがなく、ほどよい距離感で読むことができました。 また、会話にたくさんの省略がありつつも、物語の流れや演出などからそれが読み取れるようになっていて、夢中で文字を追いかけました。 そして、一気に印象を変えるエンディングテーマ。梅雨開けにふさわしく、それまでの曲調から一気に晴れやかになって、心をぐっとつかまれました。 不器用さは純粋さゆえ。泣くことができたから晴れたのだ。そんな気持ちで読み終えました。 @ネタバレ終了 印象的な背景、落ち着いたBGM。 そして雰囲気にあったフォント、読みやすいレイアウト。 また、システムボタンが隠れる工夫などのおかげで、とても心地よく物語を読み進めることができました。 楽しかったです。ありがとうございました。

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  • がんばれ!ヤマトくん
    がんばれ!ヤマトくん
    見慣れた文房具たちが一致団結してがんばる、楽しいストーリー。 コミカルで手軽に遊べる作品です。でも文房具それぞれにちゃんと役割と見せ場があり、しっかりオチも用意されていて、お話の完成度の高さとストップモーションの面白さ、その両方を楽しめる作品でした。 @ネタバレ開始 1枚1枚の写真が、丁寧に構図を考えて撮影されていて、その撮影・制作過程を想像すると、語彙力が低下して、すごいの一言しか言えません。 すごいです。 ヤマトくんの目の変化や、メジャーくんの後でクーゲルくんが散らばっているところ、長老が博識なことにも伏線があったりと、細かいところまでいろいろ考えられていて、1場面ごとにくまなく見てしまう楽しさがありました。 なお、なぜかタイトルで、がんばらない、をいきなり押したくなりました。思いとどまってよかったです。最後に押して正解でした。癒されました。 @ネタバレ終了 ノベルゲームも、アイディア次第でまだまだいろんなことができる、と気づかせてもらえる作品でもありました。 楽しかったです。ありがとうございました。

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  • 恋に落ちてはいけない20分
    恋に落ちてはいけない20分
    恋に落ちてはいけない、という時点で、もう恋に落ちている……。 なんてことを思いつつ、楽しくプレイさせていただきました。 @ネタバレ開始 1回目は真剣にタイトル通り、恋に落ちないようにと意気込んだのでエンド1に。 車に乗った途端にさっそく好感度は上がるし、途中で丹羽さんはがんがん話しかけてくるし(これは伏線ですが)で、なかなかスリルある20分を楽しめました。 何が来るかわからない、無事に帰りつけるだろうかとか、本庄さんの心の言葉も結構楽しかったです。そして、お約束の後方確認、まさかの上着を貸そうか、などの丹羽さんの天然?なイケメン具合も。 攻略は1→3→2→4の順。結果的にいい順番で読めたなあと思います。1のあと、でも好きになるくらいいいのでは、なんて気持ちになったのが不思議です。でも2の予想以上の展開はズシリときました。初見でここに来なくてよかったです。エクストラストーリーも、ほどよく気持ちを補完してくれて、楽しかったです。 1と4はどちらも甲乙つけがたい、どちらも好きな結末です。ただ、4は後日に再会したあたりから、なぜか丹羽さんに感情移入してしまいました。昼に誘うってことは、とうぜん指輪はないんだろうなと思って、すぐにウィンドウを消して正解(笑 密室感のあるデザイン、シックなジャズ、大人の恋を思わせる色使いがとても内容にマッチしていて、スッと物語の中にはいっていけました。それでいて攻略のためのヒント、既読文章や選択肢の色分けなどの親切設計もあり、ゲームとして遊びやすく、かつ没入感もあって楽しめました。 余談ですが「一度100になってしまうと下がることはありません」という説明、そりゃそうだよなと……と思いつつも、クスリと笑ってしまいました。 @ネタバレ終了 恋に落ちてはいけない、というゲームとしての面白さ。 そして実際にプレイしていて、次第に気持ちが変わっていく面白さ。 短いながらも楽しめる要素がたくさんある作品でした。ありがとうございました。

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  • 各務家〜食卓物語〜
    各務家〜食卓物語〜
    6人の視点から語られる、ある家族の物語。 少しずつ明かされていく秘密や思いによって、物語が完成していく。 ジグソーパズルのような面白さがありました。 @ネタバレ開始 語られていく順番が練られていて、読んでいて上に下にと気持ちが翻弄されてしまいました。 家族だからこそ、親しいからこそ言葉にはしない。だからそこに誤解も生まれてしまうのかもしれません。でもそんなもどかしさが、家族になるかもしれない他人によって解消されていく、という結末もとても感慨深いものがありました。 @ネタバレ終了 とても面白かったです。 ありがとうございました。

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  • 故郷からの便り
    故郷からの便り
    4つの手紙から、物語が少しずつ見えてくるお話。 短い中にも、いろいろな物語が見えてきて楽しかったです。 @ネタバレ開始 手紙にはたくさんの省略があって、そこを想像しながら読んでいくのが楽しかったです。 大きな物語のかけらに触れたような読後感でした。 この手紙に、彼はどんな返信をしたのでしょう。 そんな想像もふくらみました。 @ネタバレ終了

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  • ブラックコーヒー
    ブラックコーヒー
    まさにブラックコーヒーのような、苦味と酸味の効いたお話でした。 素性も多くは語られず名前もわからない2人ですが、それがかえって物語をふくらませていたように思いました。 変わりたいと思いながら変われないもどかしさ、変わってしまった相手と変わらない自分への焦り。でも相手の中に変わらない部分を見つけて安堵する心。とても身近な心情でした。 大人になっても、根っこの部分は変わらない。 だとしたら、何が変わっていくのだろう、なんてことを思いました。 @ネタバレ開始 最初のエピソードでは、寄り道せずに帰ってしまいます。 これが本来起きた出来事で、続きはあり得たかもしれない別の可能性だったのか。 それとも最初こそが想像で、続きこそが事実だったのか。 なんて想像もしました。 @ネタバレ終了 シンプルにまとめられたデザインが、物語の雰囲気によくあっていると思いました。ステキな物語をありがとうございました。

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  • はこにわのみこ
    はこにわのみこ
    丁寧に選ばれた言葉と細かな演出がとても調和していて、はこにわの中にギュッと物語が詰まった素敵な作品でした。物語に散りばめられた様々なテーマのひとつひとつも、その描かれ方が工夫されていて印象に残りました。システムやデザインも洗練され快適で、参考になるところもたくさんありました。ステキな物語をありがとうございました。

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